上海漢院顧問のつぶやき(No.360)

 

目次

1.特集

 

【中国関連】

 

【日本関連】

 

【アジア関連】

 

【米国・北米関連】

 

【欧州・その他地域関連】

 

【世界経済・政治・文化・社会展望】

 

2.トレンド

 

3.イノベーション・モチベーション

 

4.社会・文化・教育・スポーツ・その他

 

5.経済・政治・軍事

 

6.マーケティング

 

7.メッセージ

 

  【上海凱阿の呟き】

記事

1.今週の特集

【China関連】

中国の若者、本当は日本人に好意的だった、関係悪化の裏にある中国人エリートの本音中村 陽子 :東洋経済 記者 中村 陽子なかむら ようこ

東洋経済 記者

『週刊東洋経済』編集部記者

20160109

日中関係悪化の裏にある彼らの本音とは?(写真:iroha / PIXTA

日本への留学経験がない中国人学生の日本語作文コンクール受賞作71本を収載した「なんでそうなるの?中国の若者は日本のココが理解できない」が出版された。日中関係が冷え込む中、応募は過去最高の4749本に達した。家族や親友の猛反対に遭いながら日本語を専攻し、日本人教師や留学生、バイト先のお客、ゲーム作者とのメールなど、日本人と初めて接することで閉ざされた心に風穴が開き、戸惑い、あるいは交流へと突き動かされていく。

同書はみずみずしい感性と中国人らしいエネルギーにあふれた、若者たちの作文集となっている。編者である日本僑報社の段躍中代表に、背景を聞いた。

中国の若者には反日感情が刷り込まれているのか?

週刊東洋経済「ブックス&トレンド(著者インタビュー」の過去記事はこちら

──ある受賞者の「心の中に残っている敵意のバイアス」という言葉が印象的でした。国の歴史教育や家庭での「日本を許すな」という教えを通し、中国の若者には反日感情が刷り込まれていると聞きます。

実際には日本のカルチャーを通した日本ファンが大勢います。ただ多くの若者は生身の日本人に直接触れる機会が非常に少ないんです。

歴史教育とともに、連日流される抗日戦争のテレビや映画が若者たちに日本憎しの感情を刷り込んでいく。番組自体は正直全然面白くないですよ。でも政府の方針だし、ほかの企画では予算が通らない。中国人自身、そうした事情はよく承知しています。日中交流をもっと別の角度からとらえ直す企画や民間交流におカネを回すべきだと、私はブログで書き、中国のメディアも取り上げてくれました。中国のマスコミ関係者も問題はよくわかってるんです。

段躍中(だん・やくちゅう)/1958年中国湖南省生まれ。中国の有力紙「中国青年報」記者・編集者を経て、91年来日。96年「日本僑報」創刊。2000年新潟大学大学院で博士号取得。05年から日中作文コンクールを主催。星期日漢語角(日曜中国語サロン)、日中翻訳学院も主宰。09年外務大臣表彰ほか受賞多数。 刊行書籍は300点超

──今回初めて、日本語教師を対象にした賞も創設したのですね。

はい。北京での表彰式では日本大使の手から表彰状をお渡しして、体験談を語ってもらいました。われわれが差し上げられるのはそうした名誉だけで、到底力不足です。国や政府にもっと日本語教師を応援してほしいと思っています。

ここで強調させていただきたいのが日本人先生の持つ力です。今中国全土で日本人教師の数は2500人くらいですが、日中関係の冷たい空気の中、薄給で言葉もままならないまま、日本をよく知らない若者たちに日本語と日本文化を教えてくれている。発音練習を兼ねた朗読用にと、毎朝日本から家族に新聞のコラムをファクスしてもらったり、それは献身的です。まさに日本国を代表する民間大使です。そうした先生方にもっとライトを当ててほしい。

2011年に最優秀賞を取った青年の作文は、東日本大震災直後、ネット掲示板で日本に声援を送った彼をののしる友人に対し、理性を持って説得し、最後は共に支援するまでを描いた話でした。このときも日本人の先生の影響が大きかった。

政府の資金で日中交流を応援するサイトも

──日本へ行ったら「近所のおばあちゃんたちとも仲よくしたい。日本人のよい習慣はどんどんマネして、私の態度で中国人に対するイメージをよいほうに変えたい」というような、力強い言葉も多かった。

そういう高い意識を持つ若者はすごく多いですよ。日本が好き、日本のことを学びたい、日本へ行って経験したことを周りに伝えたいと公の場でも話す学生は本当に多い。

政府は抗日ドラマを作る一方で、民間サイトのように日本関連のいい情報も実はたくさん発信しています。人民日報のネット版である人民網では日本の地方の小さな出来事や、毎週日本の面白いランキング、グルメや娯楽情報とかも紹介しています。政府の資金で日中交流を応援するサイトも、本当は作っているんです。

──そうした事実を日本人はあまり知らないかもしれません。

2013年に新聞・テレビの中国総局長・支局長ら約20人に執筆してもらった本を出したのですが、中国からいいニュースを出しても本社でハネられるそうです。日本の本社は中国の悪い点や反日ムードばかりを取り上げようとする。実際に現場を取材している特派員たちの意向とは異なり、それが報道の現実になっています。先ほど申し上げたような日本に学ぼうという政府系サイトの話など、日本のメディアは取り上げませんね。

──日中関係が凍り付いたままでいる状態の片棒を、実は日本のメディアも担いでいる?

そうです。たとえばわれわれの作文コンクールの表彰式の様子も、某新聞の特派員は、取材しても本社が取り上げない、と言ってました。ライバル紙が後援しているという事情もあるようですが、他社後援うんぬんにかかわらず、中国各地でこんなに熱意を持って日本語習得に頑張ってる若者たちを、もっと応援すべきじゃないかと思います。彼らが日中の将来の懸け橋になるのですから。

彼らの生の声に触れず、大手メディアの情報だけで中国を悪くイメージしてしまうのはすごく残念です。

若者たちに日本を経験するチャンスを提供したい

なんでそうなるの?―中国の若者は日本のココが理解できない(日本僑報社 2000円+税/269ページ)、書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

──段さんは33歳で来日するまで、新聞記者だったんですよね。

中国共産主義青年団の機関紙「中国青年報」で記者をしていました。1989年の天安門事件には、ジャーナリストとして失望しました。当時は毎晩2時の朝刊締め切り後、天安門広場へ通った。私は党員だったけれど学生と一緒にデモに参加しました。共産党中枢の新聞記者でさえ、あれはないと思った。われわれが現場で見て書いた記事を載せるよう編集長に詰め寄ったし、本来なら5時に印刷へ回すのに、紙面構成もゲラも出さないこともあった。活字工は10分で組むところを1時間もかける牛歩戦術で発行をやめさせようとしたり、現場はけっこう頑張ったよ。

2年後、たまたま妻が留学していた日本へやってきました。中枢紙の1面デスクで出世コースにいたところから、まったくゼロの状態で何も知らない日本に来るのは非常に複雑な心境でした。でも幸運だった。日本というすばらしい国を自分は身をもって体験することができたのです。何より尊いのは言論の自由、出版の自由です。これは私の命より大事です。

もう一つ、普通の市民がどこの誰とも知れない一外国人にたいへん優しくしてくれたこと。アルバイト先の居酒屋の老夫婦が暇を見て日本語を教えてくれ、年末にはおせち料理を分けてくれ、まさに日本の文化、日本人の優しさでいつも助けてくれた。日本に来て本当によかったと感じてるんですね。そのためにこの日本語作文コンクールも死ぬまで続けていきたいし、若者たちに日本を経験するチャンスを提供したい。

──13億人のエリートの階段から今のこの仕事まで、段さんにとっては自然な帰結だったんですね。

こんな小さな民間企業でコンクールをやるには力不足であると感じています。それでもなぜやってきたか、何が得られるかといえば、若者たちを応援することで、私には時間が足りなかった日中を強固につなぐという夢を、彼らに託せるからです。

中国ファーウェイ躍進、スマホ好調で売上高70%増、高価格端末への注力が奏功2016.1.7(木) profile 小久保 重信 JBPress

  北京、朝の通勤時間の地下鉄車内で携帯電話を使う人々〔AFPBB News

 中国の通信機器メーカー、ファーウェイ(華為技術)によると、スマートフォンを手がける同社の消費者向け事業部門は、2015年における売上高が200億米ドルを超え、前の年に比べ約70%増加したという。

中国や欧州で高いシェア

 また2015年に同社が出荷したスマートフォンの台数は1800万台となり、こちらは同44%増加したという。同社は中国のスマートフォン市場でシェア1位を維持したほか、欧州などの世界市場でも高いシェアを獲得しており、これらが業績に寄与したという。

 この話題について報じた米ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、ファーウェイは株式非公開企業であるため、四半期ごとの業績詳細は開示しておらず、通常は毎年4月頃に出す年次報告書で財務データを公表している。

 だが、ファーウェイで消費者向け事業部門を統括するリチャード・ユー氏は社員に宛てた年頭の書簡で、これらのデータを公表した。

 さらに、6日に米国ラスベガスで開催される家電見本市「CES 2016」に合わせ、業績に関するプレス発表を行った。

「生き残る数少ないメーカーの1社」

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ユー氏は社員宛ての書簡で、「大半の携帯電話メーカーは熾烈な市場競争に直面し、今後35年で消えていくだろう」とし、「ファーウェイの消費者向け事業はその競争に生き残る23社のメーカーの1つになる」などと述べた。

 同氏によると、ファーウェイによって中国は最も成長速度が速い市場。だが、同社の売上高は欧州、中南米、中東でも急速に伸びた。またファーウェイは昨年、高価格帯端末の販売に注力しており、これらの製品が売上高の上昇に寄与したという。

 ルーターやスイッチといった通信ネットワーク機器で知られるファーウェイには合計3つの部門があり、スマートフォンを手がける「コンシューマー・ビジネス・グループ(CBG)」はそのうちの1つ。ウォールストリート・ジャーナルは、この事業が今、急成長していると伝えている。

業界平均を大きく上回る伸び率

 米国の市場調査会社IDCが先頃公表したスマートフォンの世界市場リポートによると、昨年79月期におけるファーウェイの出荷台数は2650万台となり、1年前から60.9%増加した。

 同四半期におけるファーウェイの世界市場シェアは7.5%で、韓国サムスン電子の23.8%、米アップルの13.5%に次ぐ3位。一方で、60.9%という前年同期比伸び率は、業界平均の6.8%や、サムスンの6.1%、アップルの22.2%を大きく上回っている。

IDCによると、ファーウェイは中・高価格帯端末に注力しており、これらの昨年79月期における出荷台数は、全出荷台数のほぼ3分の1を占めたという。ただし同社は今後、存在感がいまだ比較的薄い米国市場に重点を置く必要があるとIDCは指摘している。

 なおファーウェイは今回出した発表資料で、西欧の高価格帯スマートフォン市場でシェアを伸ばしたと報告している。昨年は、スペイン、ベルギー、スイス、ポルトガルなどの国々で上位3位に入った。それを支えたのが技術革新や研究開発への投資という。

 同社は、中国、米国、ドイツ、スウェーデン、ロシア、インドに合計16の研究所を持っており、一昨年は年間売上高の14.2%を研究開発に投じた。

 こうした研究開発などによって得た特許の数は76687件。そのうち18000件が製品に生かされていると同社は説明している。

インターネットが牽引する中国「新経済」の姿とは

陳言 [在北京ジャーナリスト] 201618 DOL

2016年の中国経済を展望する場合、かなり悲観的に見ている人が多い。経済成長率は果たして7%を維持できるかどうか。年明けの株価暴落を見て、非常に厳しい一年になると予感する人は、決して少なくないだろう。

20世紀末のアメリカITバブルを記憶している人は、その崩壊過程が目の前で鮮明に浮かんでいるかもしれない。中国はどうだろうか。2015年の中国インターネット関連の事情を見て16年の中国経済を展望する場合、その経済に対する役割がはっきりしなかったものが明確になり、そこに中国の変化が見て取れる年になると思われる。

中国経済を見る新しいポイント,労働と資本そして効率アップ

20151216日から18日まで浙江省烏鎮・枕水ホテルで第2回世界インターネット大会が開かれた。日本ではあまり大きく取り上げられなかったが、中国では年末の結構大きなイベントとしてマスコミは報道した。

 このネット会議には多くの国々の政治的な要人と国際機関の責任者、ネット企業の大物たちが一堂に会して議論した。GSMアソシエーションのジョン・ホフマン最高経営責任者(CEO)は、ネットを「人類の未来の発展」と高く評価し、世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長は、それを「第4次産業革命」とまで讃え、「国家の利益」(チリ下院運輸通信委員会のグイド・シラルディ委員長)、「世界の人々の生活レベルの向上」(パキスタンのシャウカト・アジーズ元首相)など言葉が、紹介しきれないほど飛び交った。

 ネットという「歴史上でも非常に独特の物」(第2回世界インターネット大会における米国電気電子学会のハワード・ミッシェル会長の言葉)は現在、政治面の力と産業面の力の共同推進のもと、新しい経済の鋳型を形成している。

 日本と中国の間で行き来している筆者にとって、インターネット関連の変化は、日本より中国のほうが明らかに激しいと感じる。ラジオ、テレビの普及によって情報が地方都市、農村まで届くようになったが、インターネットと結合した物流は、今度は教育などのソフトと商品などのハードを地方都市、農村にまで届くようにした。まだ小さな店ほどの形にもなっていない農村の売店は、タブレッドかスマホを使って全中国から商品を購入し、さらに免税品をも、越境Eコマースで手に入れている。

 経済を見る場合、「消費と投資、輸出入」という3要素が重要だと教科書から学び、今もわれわれが経済の長期的な発展を予測する場合、その3要素に注目しているが、それよりも「労働」と「資本」そして「効率アップ」という新しい要素で経済を見たほうがよほど正しい結果を得られる。

 目下、中国経済の下押し圧力で最大のものは、製造業の下降だ。世界の工場として、経済に占める製造業の規模が最大の国家として、中国は二重の圧力に直面している。それは先進国の再工業化によって、ハイエンドの製造業が中国から日米欧に向かっていることと、人件費の上昇によってローエンドの製造業が東南アジアや南米、アフリカに移転することである。

 その唯一の対応策こそ、製造業とネットの結合なのである。それによって、スマートマニュファクチャリングと製造業のサービス化を発展させる。つまり、インターネットが「労働」と「資本」の新しい結びつきを生み出し、効率をアップさせる。

ネット経済の比率は7%以上へ,医療、観光、教育などでの影響

医師の検索・予約ができる百度医生(バイドゥ医師)アプリ

 中国インターネット情報センター(CNNIC)の最新の統計によると、中国のGDPに占めるネット経済の比率は、2014年に7%に達した。国民経済の支柱産業とされる基準はGDP8%以上だ。2015年にネット産業がこの基準を超えるであろうことは言うまでもないが、2014年のレベルにとどまったとしても、もはやネットが中国経済の支柱産業だという見方は妥当であろう。

 世界のネット企業10強のうちの四つの椅子をすでにBAT(バイドゥ、アリババ、テンセントの3巨頭の略称)と「京東商城(JDcom)」が占めている。ネット企業の他業種への拡散と協力の例を、BATの事業から見ることができる。

 まず、医療と教育を見てみよう。バイドゥのビッグデータの検索では医療と教育に関連した検索が最も多い。これに基づいて「バイドゥ医師」(病院の予約などができるネット上のプラットホーム)は目下、全国287都市、計2624カ所の病院をカバーしている。このうち一級公立病院は500カ所、医師数は15万人を超えており、計180万人近くにサービスを提供している。

教育分野では、最近バイドゥは教育事業部を設立し、教育機関に教育サービスの解決プランや核心的ユーザー育成システム、核心的ユーザー普及システムなどのサービスを提供している。一方、テンセントは前後して教育事業者の「跨考(異なる専門に跨る受験)教育」や教育アプリの「優答」に投資した。

 交通や不動産・ホテル、観光を見てみよう。アリババは投資ラウンドのシリーズDの相乗りサービス「Lyft」に25000万ドルを主導的立場で投資し、タクシーの配車関連には数千万ドルを投資した。

 実際、医療や教育、交通、不動産・ホテル、観光などいくつかの業種に限らず、消費者に関連するあらゆる業種のうち、BATが足を踏み入れていない場所を探すのは、もはや非常に難しくなっている。

 ネット企業の花形たちはいまや科学技術発展のフロンティアに足を踏み入れ始め、未来を定義づける技術の進歩を促している。グーグルとアップルは自動運転車に巨額を投じ、バイドゥも「バイドゥ自動車大脳」を核心的技術とする自動運転車の研究開発を発表した。

 バイドゥの時間測定によると、烏鎮のインターネット大会で習近平国家主席は、バイドゥの展示ホールに1046秒間立ち止まり、少し前に走行テストを成功させた自動運転車を観察した。そして「技術の自主的な研究開発レベルはどうか」「スピードはどれだけ出せるのか」「コストはどうか」「いつ大規模な商用化を実現できるのか」などと続けざまに質問した。

もはやビッグデータの時代,すでに中国文化の一部に

 「ネットが新経済により大きな役割を発揮することに、ネットリーダーたちは気付いている」と雑誌『中国情報化』の執行社長、電子工業出版社研究院主席アナリストの熊偉氏は見る。

 中国最大のポータルサイトである「新浪」の曹国偉董事長は20153月、「『インターネット+(プラス)』は新経済の形態を代表している」と述べた。彼はまた、ネットが伝統的な業界を変える「4段階論」を打ち出している。

 第1段階はネット広告などのマーケティング利用で、第2段階はチャンネルのネット化、つまりEコマースだ。第3段階はシャオミー(小米)のスマートフォンのような製品のネット化。第4段階は全面的なネット化で、金融、教育、旅行、健康、物流などを含めたネット・プラス伝統的業種だと言う。

 このコラムではEコマースについて取り上げたことがあるが、ビッグデータを生かす例としては、こんな事例がある。

 「北京朝陽大悦城がバイドゥのビッグデータ技術を使い、消費者グループを細分化し、タイミングよく優待情報(携帯電話のショートメール)を出して共同購入活動を実施した。919日の開業記念日1日だけで売上額は2600万元に達し、ビッグデータの貢献率は10%を超えた」とバイドゥの王副総裁はいう。「ビッグデータはいま商業に『新エネルギー』を付与している」と、王副総裁は付け加える。

 インターネットを突破口にし、技術の進歩率を高めて経済成長を保ち、インターネットを「法」として新経済を形作ることは、政府と企業界のコンセンサスになっている。

 コンセンサスを社会に広げるための政府による表現には「新型国家」「ハイエンドなサービス業(スマート化、専門化、高効率化したサービス業)」「大衆の創業と万民のイノベーション」といったものがある。「BATはすでに中国の主要なエネルギー付与グループになった」と、産業界は表現している。

 「エネルギーの付与」はBATが新経済を形成し、社会的価値をもたらす具体的な行動だ。電子政務やスマートシティ、スマートマニュファクチャリングなど、その例は非常に多い。都市サービスはテンセントとアリババの戦場である。深?や佛山、武漢、上海などの住民はすでに「ウィーチャット(微信)」を使った病院予約や交通情報の問い合わせ、外国ビザの予約に慣れている。

BATの放つ影響から見れば、インターネットがつくった新経済はすでに根を下ろしているといえる。まさにインターネット研究の専門家・姜奇平氏の分析のように、中国という長い歴史持つ存在は多元化・トポロジー化したピアツーピア(P2P)、ハイパーリンクのインターネットと同形で、相性がよい。もし彼の分析に間違いがなければ、インターネットがつくる中国の新経済は、必ず文化面においてより大きな支えを獲得し、未来はいっそう多くの栄養分をくみ取って、大きく成長するだろう。

2016年の中国経済を見る場合、インターネット発展の勢いはますます強まっていくに違いない。政府が経済政策の面ではどんどん支援しているだけでなく、マイクロソフト、グーグル、アップル、シスコ、日立などの海外企業も、いままで以上に中国政府のインターネット政策に協力的になっている。インターネット・プラスは中国の経済発展にエネルギーを与えており、その成長はしばらく継続するだろう。

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【Japan関連】

2016年は円安終了」を予測する3つの理由,1ドル=118円の「トリガーポイント」を突破!闇株新聞が為替相場を大胆予測「闇株新聞[2016]

 

201618 TK

経済に潜む闇を白日の下にさらけ出す刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」では、昨年12月のFRB利上げ決定前から、常識に反した「円安終了」を予想していました。それから3週間経って、現在の米ドル/円相場は1ドル=117円台と予想通りの円高になっています。さてここから先の円相場は、どうなる!?

1ドル=118円の「トリガーポイント」に急接近!

 為替相場の潮流がはっきりと変化しているのを感じます。

 本誌は1215日配信のメルマガ速達便記事「そろそろ円安終了?」(当連載では25日更新記事「米FRB9年半ぶり利上げで、常識は円安ドル高だが闇株新聞が円安終了を予想する理由とは!?)に加え、1228日と13日に配信したメルマガ「闇株新聞プレミアム」にも、「そろそろ円安終了」「円高反転は近い」と書いておきました。さらにその前には、日本の機関投資家、事業法人、個人などの外貨(資産)購入が急増したコスト水準から、1ドル=118円あたりに「トリガーポイント」があるとも書いておきました。

 「トリガーポイント」とは、その価格を突破するとトレンドが雪崩を打って加速するポイントのことですが、その時点では価格だけで「時期」は特定できていませんでした。しかし、ここ数日で本誌の想定よりもかなり早くトリガーポイントに到達したため、急ぎ記事にすることにしました。

米ドル/円の日足チャート(20161809:07

FRBの利上げ決定で常識通りに「円安ドル高」が進みかけたが、ドル買いは続か ず。逆に円高に振れて、闇株新聞が「トリガーポイント」と見ていた1ドル=118円を突き抜けた。さて、ここからどうなる!?(チャートは「ザイFX」より)

闇株新聞が「円安終了」を予想する3つの理由

 本誌が「そろそろ円安終了」と考えた理由はたくさんありますが、ここでは3つだけ挙げておきます。ただし、理由がいくら揃っていても、それだけで「円安終了」あるいは「円高反転」になるわけではありません。

【円安終了の理由・その1】
日本の経常収支の黒字が急激に拡大していること

 日本の暦年ベースでみた経常収支の黒字は、2014112月の2.6兆円が過去最少ですが、2015年は発表済みの110月だけで14.4兆円にもなっています。このままだと2015112月には17兆円程度となり、2010年の19.4兆円に匹敵する黒字が予想されます。2010年の年間平均円相場は1ドル=88円でした。

 経常収支の黒字拡大の最大要因は原油価格下落による貿易収支の大幅改善ですが(円安効果ではありません)、少なくとも日本にとって外貨余剰(円高要因)となるはずです。また、原油価格の下落は一時的ではなく、かなり長期間継続する可能性が強いため、日本における外貨余剰はまだまだ続くことが見込まれます。
【円安終了の理由・その2】
日本の機関投資家による高水準の対外投資は持続不能であること

 実は公的資金を含む機関投資家の対外投資が急増したのは201410月の日銀追加量的緩和の前後からであり、そこから発表済みの201510月までの13か月で海外の株式・ファンドを21.0兆円、中・長期債を12.2兆円も買い越しています。これが円相場を1ドル=105円から125円(20156月)まで押し上げた最大要因と考えています。

 足元では海外の株式市場、債券市場(特に低格付け債など)、そして何よりも直近の円相場といった対外投資環境が思わしくないため、201510月までの狂ったような対外投資が今後も継続するとは考えにくく、最大の円安要因は剥落していることになります。

 さらに本誌が「トリガーポイント」と考える1ドル=118円を突破したため、一部の対外資産の売却あるいは為替ヘッジ(ドル売り)が出る可能性も強く、ここからは円高要因が加わることになります。

【円安終了の理由・その3】
昨年後半以降、FRBの利上げペースを過剰に見積もり過ぎていること

 本誌は毎年元旦の日本経済新聞に掲載される、企業経営者や評論家の相場予想アンケート(特に為替)に注目していますが、今年は1ドル=120円~130円と「円安予想」が圧倒的に多数でした。これは日本全体がFRBの利上げペースを過剰に見積もり、「円安」を前提にした投資行動を取ってしまっていることを示しています。経験上、こういう傾向は、逆に「円高要因」として作用します。

ここからは多少円安に戻ったら自信をもって円買い・ドル売り!

 ただし、以上のような理由がいくつ揃ったとしても、それですぐに相場の転機(ここでは円高反転)が来るとは限らず、そこから1年以上もかかってしまうこともあります。

 実際に転機(ここでは円高反転)が来たかどうかは実際の値動きで判断するしかありませんが、このまま一直線に円高に向かうということもないでしょう。まだまだ日銀の追加緩和や、それによる円安を期待する日本人が多いからです。

 しかし、ここからは「多少円安に戻ったら自信を持って円買い・ドル売り」であることだけはわかります。そして、この方針は(まさかとは思いますが)日銀がさらなる追加量的緩和に踏み切っても、変更の必要はないと考えます。

日本の利益となる輸入価格下落がなぜ成長につながらないのか

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問] 【第44回】 201617 DOL

 

日本経済に最も大きな利益をもたらすのは、資源や国際商品の価格が下落することだ

 新年は波乱の幕開けとなった。株式市場は、昨年の夏以来の大きな変動となった。これは、世界経済が大きな不確実に直面していることの反映だ。

 ただし、変動は、アメリカ金融正常化後の新しい均衡を求めての市場の模索である。重要なのは、金融正常化によってもたらされる新しい動きを検出し、それを適切に活用することだ。以下では、日本にとっての最も重要な動きは、資源価格や商品価格の下落であること、それを経済成長に結び付けるには国内物価の引き下げが必要であることを指摘する。

資源・国際商品価格の下落は日本にとって最大の利益

 株価が今後どのように推移するかまったく予測ができないが、アメリカの金融正常化は投機の時代の終了を意味するので、株価に影響が及ばないはずはない。今後、ニューノーマル(新しい均衡)に向けての模索が続けられることになるだろう。

 ただし、株価の下落は、経済のムードには影響しても、実体経済に直接の影響を及ぼすことは少ないだろう。株価の下落は、これまでバブルで膨らんでいた株価が正常な水準に戻りつつあることを示すものだ。これは、とりわけ中国の株価について言えることである。

 アメリカの金融正常化が引き起こす動きの中で、日本経済に最も大きな利益をもたらすのは、資源や国際商品に対する投機が縮小し、これらの価格が下落することだ。

 これまで、金融緩和によって投機資金が供給された結果、資源や国際商品に対する投機が増加し、その価格が実需によって正当化されるよりかなり高い水準になっていた。

 ところが、金利が引き上げられると、レバレッジ投資で投資額を膨らますための短期資金の調達が困難になり、投機が減少する。このため、資源価格や国際商品価格が下落する。

 この影響は、日本の輸入価格にはっきりと表れている。

交易条件が大幅に改善,輸入価格下落は明らかにプラス

 契約通貨ベースの輸入物価指数の総平均を見ると、図表1のとおりだ。アメリカがQE3の終了を宣言した2014年の秋から急激に低下したことが分かる。

1511月の輸入物価指数総平均の対前年比は、19.0%減となった。こうなった最大の原因は、石油・石炭・天然ガスの価格低下(42.9%低下)だが、それだけではない。

 金属・同製品も23.0%と大幅に値下がりした。上昇したのは、繊維品(1.9%上昇)と輸送用機器(1.1%上昇)のみで、その他はすべて下落した。

 価格はいまだに底を打ったとは見えない。今後も、新しい均衡を求めての調整が続くだろう。

◆図表1:輸入物価指数の推移

(資料)日本銀行

 なお、13日にサウジアラビアとイラクが国交断絶をしたことで、原油価格が反騰するのではないかとの見方がある。

 ただし、つぎの諸点を考えれば、大幅な上昇はないだろう。第1は、これまで述べた投機資金の減少だ。第2は、世界的な経済成長の低下(とくに中国の経済成長の低下)による実需の低迷である。そして第3は、価格が上昇したとしても、シェールオイルの増産で価格が抑えられることである。

 輸入価格が下落する半面で、輸出価格はあまり大きな下落を示していない(図表2)。日本の輸出は工業製品であるため、投機の対象にはなっていなかったからである。

◆図表2:輸出物価指数の推移

(資料)日本銀行

 このような輸出入価格の変化は、日本に対して明らかにプラスの影響を与える。それは、交易条件の改善によって表される。

 ここで交易条件は、輸入価格/輸出価格によって与えられる。この推移を図表3に示す。

 契約通貨ベースの輸出入価格で計算した交易条件は、14年の秋頃から顕著に上昇した。それまでに比べて1割以上上昇という大きな改善だ。

◆図表3:交易条件の推移

(注)交易条件指数=輸出物価指数/輸入物価指数(契約通貨ベース)(資料)日本銀行のデータを用いて算出

交易条件が改善したのに賃金が上らないのはなぜか?

 交易条件の改善は、本来であれば、賃金を上昇させるはずだ。

 それを理解するために、住民が1人しかいない島国を考えてみよう。その人は島にあるヤシの実を採集し、それを輸出して、外国から衣服を輸入するとする。もし衣服の値段が半分になれば、いままでと同数のヤシの輸出によって、2倍の量の衣服を得ることができる。これが彼にとっての賃金であるわけだから、賃金が上がったことになる。

 しかし、現実の経済では、必ずしもこのとおりのことが生じない。上に見たように交易条件は1割上がっているのだから、賃金がかなり上がってもよいのだが、現実にはほとんど上がっていないのだ。

 その理由はいくつかある。第1は、国民の全員が輸出産業の従業員ではないことだ。だから、交易条件改善の効果は「薄められる」。

 第2は、現実の経済活動では、さまざまな生産要素が用いられるから、賃金だけが利益を受けるわけにはいかない。貿易に従事しているのは企業だから、交易条件改善の利益の大部分は、企業の利益になって、賃金という形では払い出されない。企業の利益は、配当されるか、内部留保の増加になる。後者は株価の上昇を通じて株式保有者の所得となる。

 同様のメカニズムは、円安に関しても生じている。この連載の39で述べたように、円安で製造業大企業の利益は増加した。しかし、人件費は増加しておらず、利益は主として内部留保となり、株価を上げて、資産所得者の所得を増大させた。

 他方で、円安によって物価や原材料費が上昇するので、労働者の賃金所得や零細企業の利益は増加しない。

 資源価格や国際商品価格の下落も、企業の原材料費を減らすだけで、賃金上昇には回されない可能性がある。

 つまり、交易条件の改善は、確かに日本を豊かにしているのであるが、その利益は主として資産保有者に帰属し、労働者には帰属しないことになる。

 ところが、資産保有者の消費性向は低いために消費が増大することにはならず、資産の蓄積をもたらすだけの結果に終わる。他方で、労働者の所得が悩むために、彼らの消費が伸び悩む。この結果、経済全体の消費が伸び悩み、GDPが伸び悩む。

 結局のところ、交易条件の改善が経済成長につながらない。

必要なのは国内物価の引き下げ,それが実質賃金を上昇させる

 円安による原材料価格の上昇も、すべては消費者物価に転嫁されているわけではない。これについての分析は、『期待バブル崩壊』(第5章の2、ダイヤモンド社、2014年)で行なった。

 そこで示したように、原材料価格上昇の約3割は消費者物価に転嫁されているが、残り7割は、転嫁されずに企業の負担になっている。

 資源・商品価格の下落による輸入価格の下落は、これと逆方向のものであるが、同じメカニズムが働いていると考えられる。

 円安の場合と同じく3割程度が消費者物価に転嫁されるとすれば、輸出物価がほぼ不変で輸入物価が年間ほぼ2割低下しているのだから、消費者物価を2%程度下げる効果があるはずだ。その理由はつぎのとおり。日本の年間輸入額はほぼ95兆円なので、その2割は19兆円。その3割は5.7兆円。これは、最終家計消費支出の2%にあたる。

 しかし、現実には、それほどの低下は生じていない。これから見ると、輸入価格上昇の場合に比べて、下落の場合には製品価格への転嫁率が低いようだ。価格引き上げの場合は売り上げの減少を招く危険があるため、抑え気味になるのだろう(ガソリン税の影響で、原油価格の下落がガソリン価格に反映されにくいという事情もある)。

 現在企業の業績が好調なのは、このように交易条件の改善による利益の部分が大きいと考えられる。この消費者への還元は、賃金を上げることによってではなく、製品価格の低下によって行なうべきだ。

つまり、現在の日本において必要とされるのは、日本銀行が望んでいるような物価の上昇ではなく、物価の引き下げである。それが賃金の実質値を引き上げるのだ。

 なお、企業の内部留保が増えてそれが賃金に分配されないことが問題であるのなら、現政権が行なっているように賃金決定過程に介入し、賃金を上昇させるべきだとの意見があるかもしれない。

 しかし、いま述べたように、賃金の引き上げでなく、物価の引き下げが必要だ。

 また、政府が春闘に介入しても、経済全体の賃金は上がらない。賃金を下げているのは、春闘には関係のない零細中小企業だからである。

輸入価格の下落によってGDP600兆円目標が実現する?

 安倍晋三政権は、2020年にGDPを600兆円にするとしている。この問題と、上で述べた問題との関連について触れておこう。

1579月期のGDPは年率で約500兆円なので、かなりの成長が必要だが、単純に計算すれば、今後、名目成長率3%が実現できれば、600兆円は達成できる。

 ところで、輸入物価の下落は、GDPデフレーターを上昇させる(輸入はGDPの計算で控除項目だからである)。したがって、名目GDPを増加させる。そこで、輸入物価の下落によって600兆円目標が達成できるとの考えがある。

 しかし、輸入物価の低下が今後も現在のような率で続くとは考えられない。現在生じているのは、金融正常化に伴う物価水準の訂正だと考えるべきだろう。そうであれば、輸入物価の低下によって3%の名目成長率を実現することはできない。

 また、輸入物価の下落がGDPデフレーターを引き上げるのは、国内物価に転嫁される前の現象である。完全に転嫁されれば、国内物価を引き下げることになるから、GDPデフレーターに与える影響はゼロになる。上の効果は、一時的なものにすぎない。

 また、人々の生活にとって重要なのは、名目値でなく、実質値である。資源価格下落の効果は、実体経済に与える影響を考えるべきだ。ここでは水準の低下も大きな意味を持つ。

 仮に交易条件の改善が物価の下落を通じて実質消費の増加につながれば、実質成長を引き上げることができる。そのような経済構造の構築を目指すべきだ。

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【Asia関連】

北朝鮮、終戦の条約得るまで核実験続ける方針・関係筋ロイター 18()

 

 

 1月8日、北朝鮮は、朝鮮戦争を正式に終了させるための平和条約を得るまで核実験をやめない方針と、北朝鮮の意向を中国に伝えた関係筋が明らかにした。北朝鮮の国旗、北京で6日撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon

[北京 8日 ロイター] - 北朝鮮は、朝鮮戦争を正式に終了させるために米国・中国・韓国との平和条約を求めており、この条約を得るまで核実験をやめない方針だ。北朝鮮の意向を中国に伝えた関係筋がロイターに明らかにした。

平壌と接触があり、2006年の最初の核実験を正確に予測したこの関係筋は、北朝鮮が要求する条約が結ばれるまで実験は続くと指摘。「北朝鮮は中国と米国が平和条約を結ぶ意向を示すまでやめないだろう」と述べた。

核実験は主に米国に注目させるためで、「米国を終戦に向けた4カ国協議を開始するよう説得することが目的だ」と語った。

この関係筋は今回の核実験後、平和条約への支持を求めるため中国首脳部にメッセージを送ったとし、「中国は(協議の前に核プログラムを放棄すべきとしている)米国に追随すべきではない。平和条約に言及しないのは戦略的に誤りだ」と述べた。

また北朝鮮は長期にわたり制裁を受けた影響で各国との関係がほとんどなく、一段の制裁はほとんど効果がないと指摘。「制裁に慣れており、懸念していない」と述べた。

今回の実験ではTNT換算での爆発力はそれほど大きくなく汚染は非常に少なかったとして、「技術水準が高いことが示しており、より大きな爆弾をつくることも容易」との見方を示した

同居女ら3人を起訴=タイの日本人男性殺害事件

時事通信 19()

 

 

 【バンコク時事】タイ中部アントン県で昨年10月、兵庫県出身の吉岡和雄さん(84)が殺害された事件で、タイ検察当局は8日、吉岡さんと同居していたタイ人の女ポンラニー・ナパドン容疑者(48)ら3人を殺人などの罪で起訴したと明らかにした。
 
 吉岡さんは昨年1013日朝、アントン県の自宅寝室で首を刃物で刺されるなどして死亡しているのが見つかった。警察は実行犯として、隣家に住むサムパン・ジェムジェン容疑者(47)らタイ人の男2人のほか、同容疑者に殺人を依頼したとしてポンラニー容疑者を逮捕した。
 サムパン容疑者は、4万バーツ(約13万円)の報酬でポンラニー容疑者に雇われたと自供。しかし、アントン県の裁判所当局者によると、8日に行われた公判前手続きで一転して否認し、ポンラニー容疑者ら他の2人も関与を否定したという。初公判は28日に開かれる予定。 

空から謎の金属球? =軍が調査、ロシア製か―ベトナム

時事通信 18()

 

 

 【ハノイAFP=時事】ベトナム軍は8日、大きな謎の金属球三つが北部で見つかり、調査を進めていると明らかにした。
 軍報道官によると、北西部エンバイ省で2日、二つ見つかり、その後、隣接するトゥエンクアン省のトウモロコシ畑でも約45キロの金属球が一つ発見された。
 軍報道官は「どこから来たのか調査中だ」と述べている。一方、住民らは国営メディアに、雷鳴のような音が聞こえた後、球体が地面にめり込んでいたと証言した。爆発物や有害物質は検出されていない。
 ベトナム紙は、球体はロシア製で、ミサイルや宇宙船の一部の可能性があると伝えた。スペインでも昨年11月、謎の物体が三つ空から落下してきた事件があった。米航空宇宙局(NASA)によると、地球の軌道上には大小50万個の宇宙ごみが浮遊しており、常に一部が落下している。 

インド】フォックスコン、3月からスマホ生産開始かNNA 18()

 

 

 

 

 台湾の鴻海科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ)は、インドの西部マハラシュトラ州ナビムンバイの工場で、今年3月から第4世代(4G)サービス向けスマートフォンの生産を開始する計画だ。州産業局の関係者の話として、ビジネス・スタンダード(電子版)が7日に伝えた。
 同関係者によると、フォックスコンはナビムンバイのIT&IT活用サービス(ITES)特区で20万平方フィート(約1万9,000平方メートル)の用地を確保したという。工場ではフォックスコンと以前から取引のある中国のスマホメーカー、シャオミ(北京小米科技)や、地場複合企業(コングロマリット)リライアンス・インダストリーズ(RIL)の通信部門、リライアンス・ジオ・インフォコム(RJIL)向けの端末が生産される方向だ。
 フォックスコンを創業したテリー・ゴウ(郭台銘)氏は昨年8月、州内での工場の設置に約3,330億ルピー(約5,800億円)を投じる方針を示していた。ナビムンバイでの工場の設置は、投資計画が具体化した初の事例となる。
 フォックスコンは、マハラシュトラ州内の他の地域に工場と研究開発(R&D)拠点を設置する方針を示している。州産業局の関係者によると、今のところ用地の取得に向けた正式な申請はないという。フォックスコンの幹部とマハラシュトラ州産業開発公社(MIDC)の関係者が、近日中に会合を開く予定になっていると説明している。

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【USA・北米関連】

恐怖心からアメリカ人がトランプを選ぶ悪夢、あと1回、テロが起こったら何が起きるかイアン・ブルマ米バード大学教授/ジャーナリスト イアン・ブルマ

米バード大学教授/ジャーナリスト

 

1951年オランダ生まれ。7075年にライデン大学で中国文学を、7577年に日本大学芸術学部で日本映画を学ぶ。2003年より米バード大学教授。著書は『反西洋思想』(新潮新書)、『近代日本の誕生』(クロノス選書)など多数。

20160109日 TK

米大統領選の共和党候補のトランプ氏は、人々の恐怖心を煽ることで人気を得ようとしている(写真:ロイター/Mark Kauzlarich

政治的な危機は複合的な要因によって引き起こされる。カリスマ性を備えていても強欲で傲慢なリーダーが出たり、人々が恐怖心を抱いたときなどだ。命の危機に直面すると、人々はときに扇動され、集団で暴力さえ働いてしまう。

ヒトラーの時代はまさにそうした時期だった。彼はカリスマ性こそあったが傲慢かつ強欲で、当時、アーリア人とユダヤ人は、まさに生死を懸けて戦っていた。

米大統領選の共和党候補であるトランプ氏やフランス極右党首のルペン氏など、現在も扇動的な政治家はいる。彼らは独裁主義ではなく大量殺戮も手掛けていないため、ヒトラーと通じるわけではない。しかし恐怖心で大衆を扇動しているのは確かだ。

恐怖心をあおるトランプ氏ら

たとえばトランプ氏は裕福さをひけらかし、強欲さを印象づけている。型破りな傲慢さで奇妙なカリスマ性をまとうことにも成功した。彼はこう宣言した。中国やロシア、「イスラム国(IS)」、その他あらゆる国に対し米国の強さを知らしめる。シリア難民は受け入れない──。また難民の中にテロリストが紛れ込んでいるかもしれないと警鐘も鳴らしている。

トランプ氏と同様、米大統領選のほかの共和党候補も、難民問題で人々の恐怖心をあおっている。より穏健といわれるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事でさえ、キリスト教徒以外の難民の入国は認められないとまで言い切った。

米国では毎年1万人以上が銃で命を落とすが、そうした犯罪にイスラム教徒はほぼ関与していない。にもかかわらず、イスラム教徒は危険すぎて、少数の難民でさえ受け入れられないと言われているのだ。

イスラム過激派のテロが米国やそれ以外の国で起こる可能性は否定できない。仮にテロが起きたら、不安から扇動的なリーダーに票を投じてしまう米国民も増えるだろう。米国の友人も、「あと1回テロが起これば、トランプ氏が大統領になるかもしれない」と言っていた。

もちろん私も、米国の有権者がそこまでバカだとは思わない。ただ多くの政治家が扇動的な思想に染まってしまうと危険だ。比較的分別ある人物だと見られていたオランド仏大統領でさえ、パリ同時多発テロ以降、右派の政治家からの非難を恐れて国家非常事態宣言を発令、ISに宣戦布告した。

非常事態宣言が継続するかぎり、警察は令状を持たなくても、市民を逮捕できる。今やフランス国民の多くが、テロへの恐怖から排外的な政策を支持するようになっている。

しかし、そうした政策は建設的とはいえない。そもそも国家元首が宣戦布告できる対象は国家であって、革命家らのネットワークではない。また、ISをいくら空爆しても、社会に不満を抱く若者の問題を解決することはできない。

イスラム教徒排斥はISを利するだけ

ISのリーダーは「敵か味方か」といった極端な思想に染まり、「真のイスラム教徒は、欧米と存亡を懸けて戦う」と述べて支持基盤を拡大している。彼らにとっても恐怖心が最も強力な武器なのだ。

従って不安だからといってイスラム教徒を排斥すれば、若者が一層、ISへ流出してしまうだけだ。イスラム過激派の暴力に対抗する唯一の手段は、欧米のリーダーが共に暮らし、法律を順守しているイスラム教徒の信頼を得ることだ。簡単ではないが、恣意的な逮捕が正しい方法ではないことは確かだ。

米共和党の大統領候補らはパリ同時テロをめぐり、オバマ大統領を弱腰と批判した。民主党の最有力候補のヒラリー・クリントン氏でさえ好戦的な態度で、オバマ大統領と距離を置いている。一方、オバマ大統領はパニックに陥ることなく、一貫して開戦を踏みとどまっている。臆病者と彼を揶揄する者よりも、はるかに勇敢といえる。

週刊東洋経済19日号

全米が熱狂したSF映画の何とも底知れぬ魅力、「エンダーのゲーム」を見逃していませんかモノ・マガジン編集部 モノ・マガジン編集部

20160109日 TK

自宅で見る映画の定番といえばSFです(イラスト:ツネオMP / PIXTA

モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。「たかみひろしのシネマ・ショウ」をお届けしよう。音楽・映像プロデューサーのたかみひろし氏が、毎回の特集するテーマに沿って必見のDVD/ブルーレイ作品を講評とともに紹介する企画。今回は4本中3本が全米でナンバーワンを記録したSF映画特集だ。

宇宙での極限サバイバルを描いた『ゼロ・グラビティ』

今回紹介する4本の中でも第86回アカデミー賞、最多7部門を受賞した話題の大作「ゼロ・グラビティ」は、宇宙での極限状態/サバイバルを描いた感動作として、ネットでの平均評価値もかなり高い。確かに観ている分には手に汗握るようなシーンの連続で、画面から目が離せない。しかしこれを繰り返し観たいかとなれば、どうだろうか。特に決定的なオチがあるわけではなく、正直、宇宙ものの良質なドキュメンタリーを観せられているような感も無きにしも非ず……。

ただし、圧倒的に美しい映像には魅せられっぱなしだった。だから、むしろ興味は“撮影の舞台裏”の方に傾いてしまう。事実、ブルーレイの182分にも及ぶ特典映像は非常に興味深く観ることができた。アカデミー賞で「撮影賞」「編集賞」「音響編集賞」「録音賞」「視覚効果賞」といったあたりの受賞は文句のないところだろう。保存盤としてブルーレイで購入しておくことに異存はない。

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ストーリー展開の魅力の差で今回のアワードに選定したのは、『エンダーのゲーム』。原作はオースン・スコット・カードの同名SF小説(1977年に短編として出版、1985年に長編化)で、後にシリーズ化され、映画のアカデミー賞やゴールデングローブ賞に当たる、ヒューゴー賞とネビュラ賞をダブル受賞。小説の内容から長年映画化は不可能とされてきたが、2013年、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)のギャヴィン・フッド監督により、遂に映画化が叶った(脚本も同監督)これまた話題作。

『グエムル 漢江の怪物』(2006年)を撮ったポン・ジュノ監督による新作『スノーピアサー』は、フランスのヒット・コミックが原作。ほとんどの舞台が暴走列車内というかなり破天荒なSFだが、レンタルして一度観る分にはなかなかの面白さだと思う。夜中に観てたら猛烈にお寿司が食べたくなった。そのワケはご覧になって、笑ってください。

『クロニクル』は、ひょんなことから超能力を身につけてしまった思春期の若者たちが巻き起こす予測不能の展開が評判を呼び、全米初登場1位を記録したSF青春サスペンス・アクション。『AKIRA』あたりからの影響を強く感じさせるものの、新人監督による低予算映画にして、このインパクトはかなりすごいと思う。

『ゼロ・グラビティ』

『ゼロ・グラビティ』(2013年/アメリカ/91分)

コピー的に言えば、「突発的な事故により無重力空間=ゼロ・グラビティに放り出された宇宙飛行士の極限状況を描いたスペース・サスペンス」ということになる。SFといっても、ここでは好戦的な?宇宙人もモンスターも登場しないし、派手なバトル・アクションもなし。ただただ“美しく青き地球”の映像を背景に、宇宙空間での偶発的なアクシデントによる危機的状況が続く。観ている方の酸素もどんどん不足し、息苦しくなるばかりで、一瞬たりとも画面から目が離せない。この孤独で過酷な宇宙サバイバルは、たとえば『太平洋ひとりぼっち』(1963年)の宇宙版と言えるかも?

『スノーピアサー』

『スノーピアサー』(2013年/韓国・アメリカ・フランス/125分)

SFであっても、ストーリーに事細かな整合性を求める方にとっては、全体的にかなり破天荒な設定故、認められない部分が多々あることだろう。だがとりあえず面白ければそれもまたよしとする方ならば、本作はかなりおススメできる。2031年氷河期に突入してしまった地球で、17年間疾走し続ける人類最後の箱舟列車(?)“スノーピアサー”。この列車という密室空間で想像を絶するアクションが繰り広げられるわけだが、車両のドアが開かれるたびに待ち受けるトラップは、かなりショッキングだ。“八景島シーパラダイス車両”(!?)は個人的にお気に入り!

『クロニクル』

『クロニクル』(2012年/アメリカ/85分)

撮影スタイルは近年流行の(?)POV(撮影者目線~記録フィルム)タイプで、なんとなく素人くさい。だがストーリーが展開するにつれて、想像を遥かに超えた驚愕の映像の連続となる。平凡な学園生活を送るアンドリューなど3人の高校生は、ある日ひょんなことから特殊能力を身につけてしまう。最初はテレキネシス(念力)でのたわいないいたずらに喜んでいた彼らだったが、やがて雲上でアメフトをしたりと、徐々にその能力に目覚め、ついには煽ってきた車に事故を起こさせてしまう。自らの能力に翻弄され始めた若きサイキックたちが巻き起こす事の顛末は?

『エンダーのゲーム』

『エンダーのゲーム』(2013年/アメリカ/114分)

突如昆虫型生命体、フォーミックの侵攻を受けた未来の人類は、敵の2次侵攻に備え、世界中から頭脳明晰な子供たちを徴兵し、地球軌道上に設置された訓練施設“バトル・スクール”でエリート戦士としての養成を行っていた。中でも少年エンダーは、この宇宙戦争を終結させられる特殊能力を秘めた者として、監督官であるグラッフ大佐(ハリソン・フォード!)の下、過酷な試練を課せられていく……。

侵攻してきた敵とはいえ、戦争での殺し合いに強い疑念を抱き葛藤しながらもエンダーは、遂に指揮官となり最終バトルシュミレーションに挑む。そんな苦悩する少年指揮官役を(最高のハマり役として)見事に演じきったのは、近年作では(たかみにとって)最高評価の『ヒューゴの不思議な発明』(2011年)でも完璧な演技で魅せてくれたエイサ・バターフィールド。うまい子役が多い映画界でも、すでに抜きんでた名優といえる。

本作が『エヴァンゲリオン』と似ているという指摘(逆デス!)は、原作の発表年を知らない若い方なのだろう。また、例によって、原作ファンからの「小説に比べると物足りない」との批判もあるが、ぼくは元々映像に向いたSF小説だと思っていたので、むしろ(VFXがすごい)映画の方が楽しめたくらいだ。そして原作を読んだことのない方なら、ストレートに本作のオチを楽しめるはずだ。

とはいえ、鑑賞後ぜひ優れた原作と読み比べてみてほしい。オースン・スコット・カードのほかの作品、たとえば短編集『無伴奏ソナタ』と長編『ソングマスター』なども強くおススメしたいSF小説だ。もし『ソングマスター』が映画化されたら、『エンダーのゲーム』以上の傑作となるに違いない。(文:たかみひろし/音楽・映像プロデューサー、『モノ・マガジン』2014716日号掲載記事を一部加筆・修正)

2015年版・米国のテレビ番組ベスト10堀田 佳男 20151224日(木) NBO

堀田 佳男ジャーナリスト1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、アメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社勤務後、90年にジャーナリストとして独立。政治、経済、社会問題で取材活動をつづけ、滞米25年後に帰国。

 

 2015年最後の「アメリカのイマ」は今年人気を集めた米テレビ番組に注目してみたい。

 米国で起きることの多くは日本にすぐに伝わるし、インターネット時代になってからは知らないことの方が少ないかに思える。ところが、意外にも米テレビ番組については日本に広く伝わらないことが多い。映画や音楽などはすぐに太平洋を越えるが、米テレビ番組やその司会者、出演するタレントなどはあまり馴染みがない。

 実は米国ではいまテレビが熱い。インターネットが興隆しているのになぜ、と思われるだろう。というのも多くのテレビ番組がインターネットで視聴できるようになったからで、視聴者は減っていない。

 今年のテレビ番組のベスト10を知れば、アメリカの本当のイマがわかるかもしれない。ただここに挙げる10作品に順位はつけない。視聴率のトップ10ではなく筆者が主観的に選ばせていただいた。

『ジ・アメリカンズ』FXテレビ

 今年で3シーズン目に突入したスパイ・ドラマ。舞台は米ソ冷戦時代。ロシア人の男女(KGBのスパイ)が平均的な米国人カップルに偽装し、さまざまな物語を繰り広げる。

 主人公の夫婦は首都ワシントンの郊外、バージニア州に住んでおり、子どもが2人いる。これまで子どもたちは両親がロシア人スパイであることは知らなかったが、今シーズンで娘ペイジに本当のことが告げられた。

 ストーリー展開だけでなく、スパイの心理描写も絶妙。脚本は元CIA職員のジョー・ワイズバーグ氏が担当。今年は前シリーズよりも内容が充実していると評判だ。日本でも今年12月からNetflixで配信されている。

『ファーゴ』FXテレビ

 この題名にピンとくる方は米国通と呼べるかもしれない。というのも、1996年に同名の映画がアカデミー作品賞を受賞しているからだ。2014年からテレビドラマ化されており、今回の作品は2シーズン目。

 ファーゴはノースダコタ州の都市名で、夏でも肌寒いくらいの土地。そこで殺人事件が起き、ベトナム帰還兵の警察官と義父の保安官が事件解決に奔走するストーリーだ。ギャングの抗争に巻き込まれたりするサスペンスドラマだが、ブラックコメディと言われるだけあって笑いもちりばめられている。

 来年は数々の賞にノミネートされそうだ。今年の人気ドラマの1位に挙げる選者もいる。

『カタストロフィ』チャンネル4

 もともと英国で人気を集めたコメディ・ドラマで、今年から米国でも制作・放映されている。いわゆるシットコムで、ベッドルームでの大人の会話を中心にストーリーが進んでいく。

 米国人男性ロブ・デラニーと英国人女性シャロン・ホーガンが主演を務める。セックス描写も多いがエロスというより笑いに重きを置いている。実は主演の2人が脚本も手がけている、新しいタイプの番組だ。

 第1話は学校の先生であるシャロンと恋人ロブが週末、ノンストップのセックスをするところからスタート。シャロンはすぐに妊娠。ロブは悩んだ末に「できちゃった結婚」を決めて、スト―リーが続いていく。

『アンリアル』ライフタイム

 米国ではリアリティ番組と呼ばれる素人参加番組がある。日本の「ビッグダディ」のような内容で、カメラが特定の人の生活に密着する。

 以前『バチェラー(独身)』というリアリティ番組があった。実は同番組がヤラセだったとスタッフが暴露することで、『アンリアル(リアルではない)』という暴露番組が誕生した。インパクトとしてはオリジナルの番組よりも暴露番組の方が強く、視聴者はこれを見てスカッとした気分になるようだ。

『ミスター・ロボット』USAネットワーク

 時代を映しだすかのようなテクノスリラー。主人公のエリオット(俳優ラミ・マレック)はニューヨークに住むコンピューターおたくで、人つき合いが下手な青年だ。

 ただ勤務するサイバーセキュリティー会社ではハッキング技術を高く評価され、ハッカーからの攻撃を防御したりしていた。ある日、地下鉄で「ミスター・ロボット」というハッカーからスカウトを受けて、悪の道に入り込んでいく。

 今年9月にシリーズ1が終了した。好評だったことから来年シリーズ2が放送される予定。日本ではアマゾンが動画配信している。

『マスター・オブ・ノーン』ネットフリックス

 今年116日から始まったコメディ・ドラマで、初回から「爆笑の嵐」が吹き荒れている。主演のアジズ・アンサリが脚本を担当。ニューヨークに住む主人公は32歳の俳優という設定。恋人との関係や結婚すべきかどうかといった問いを織り交ぜながら、笑いと共に生きていく。

 芸能誌「バラエティ」はこの番組を「確実に笑いがとれる内容に仕上がっている数少ない番組。コメディ・ドラマでありながら機知に富み、活力に溢れ、主人公は好奇心に満ちている。今年もっとも面白いコメディの1つ」と絶賛している。

『トランスペアレント』アマゾン

 今年のゴールデングローブ賞で作品賞を取ったファミリー・コメディ。「アメリカのイマ」を象徴するかのように、男性から女性になった70歳の父親を中心にストーリーが進む。

 トランスペアレントは「透明な」という意味だが、トランス(越えて)という接頭語とペアレント(親)を合体させた意味もある。暗くなりがちな内容を、笑いを誘いながら仕上げている。長女は以前レズビアンで、次男は小さい時から乳母と性的関係があるなど、登場人物のキャラクター設定が鮮烈である。

『ゲーム・オブ・スローンズ』HBO

 HBOが制作する超大作で、2011年から続いている。今年は5シーズン目。内容は、夏と冬が不規則にやってくる世界で展開する7つの大国の覇権争い。日本のNHKの大河ドラマをさらにスケールアップしたような番組だ。

 原作はファンタジー小説「氷と炎の歌」の著者ジョージ・RR・マーティン。日本でもすでに13年からスター・チャンネルで視聴できる。7大国の王座争いは原作に忠実であると評判だ。すでにゴールデングローブ賞やエミー賞なども受賞している。

『ザ・ジンクス』HBO

 ドキュメンタリー番組として大変話題になった。日本でも今春、朝のワイドショーで取り上げられたことがある。

 ロバート・ダーストという億万長者が実は連続殺人魔で、トイレで殺人を告白したという実話を元に構成する。ダーストはすでに70歳超。1980年代から何人もの人を殺害してきたが、逮捕されなかった。

 ただ彼の周囲の人間が殺されていくことは周知の事実で、「彼に近づくと死ぬ」というジンクスが出来上がっていたというお話。

『エンパイア 成功の代償』フォックス・チャンネル

 開始からすぐに大ヒットした番組で、今年シーズン2に突入している。米ヒップポップ界の帝王と呼ばれたシリウス・ライオンの生涯を描く。同氏はレコード会社エンパイア社の社長だ。登場人物はほとんどが黒人。

 ライオンは貧しい家庭に生まれながら、音楽業界で大成功を収めた。だが突然、余命宣告を受け、自身の帝国を3人の息子の1人に譲る決意をする。家族の確執や闇社会とのつながりも描かれている。

 ここに紹介した番組は有料配信されているものもあれば、インターネットで視聴できるものもある。年末年始にアメリカのイマをチェックされるのも一案かもしれない。

 皆さま、よいお年をお迎えくださいませ。

米ニューヨーク州、初の医療用マリファナ調剤薬局がスタート

ロイター 18()

 

 

 1月7日、ニューヨーク州は州初となる医療用マリファナ調剤薬局を開設した。がんやエイズといった、重病をわずらう患者の症状の緩和支援を目的とした包括的医療用マリファナプログラムに沿ったもの(2016年 ロイター/Shannon Stapleton

[ニューヨーク 7日 ロイター] - ニューヨーク州は7日、州初となる医療用マリファナ調剤薬局を開設した。がんやエイズといった、重病をわずらう患者の症状の緩和支援を目的とした包括的医療用マリファナプログラムに沿ったもの。

ワシントンDCや全米22州ですでに導入されているが、今回ニューヨーク州で設けられたプログラムは、カリフォルニア州などのものとはだいぶ異なっている。

例えばカリフォルニア州には数百の調剤薬局があるが、その多くにはネオンライトの装飾が施され、陳列ケースはマリファナでいっぱいとなった状態。

一方、ニューヨーク・マンハッタンにある調剤薬局では、局内に入る前に、患者は多くのセキュリティチェックを通過しなければならず、患者すべてに専門的な訓練を受けた薬剤師があてがわれる。そうした薬剤師は、人目につかない地下貯蔵室で保管されているマリファナ抽出カプセル数種、オイル数種と、チンキ剤を用いて、医療用のマリファナを処方するという。

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【Europe・その他地域関連】

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【World経済・政治・文化・社会展望】

[FT]無国籍企業が繰り広げる危険なゲーム、税回避の移転、代償高く2016/1/10 日経Net 

 1909年、アメリカン・テレフォン・アンド・テレグラフ・カンパニー(現AT&T)の幹部だったエドワード・ホールはこう嘆いた。「一般市民は我々のことを知らない……一度も我々を見たこともなければ、会ったこともなく、どこに住んでいるのかも知らない」。彼の言葉は、1886年に企業に「人」の法的地位を与えた最高裁と、企業には人間味がないという国民からの不満の合唱の双方に対するものだった。

■根なし草になる企業

米ニューヨークにあるファイザー本社。本拠を米国より法人税率が低いアイルランドに移し、税負担の軽減を図る=ロイター

 20世紀初頭の大企業とトラスト(企業結合)の台頭への不満は、セオドア・ルーズベルト大統領時代のトラスト退治につながった。

 現在、ホール氏の発言との類似性を感じるのは、企業は根なし草で無国籍だという感覚、フェイスブックやグーグル、ファイザーが世界のどこに暮らしているのか誰も分からないという感覚だ。「どこであれ、たまたま株主にとって一番いい場所」というのが、その答えのように思える。米国のハイテク企業にとっては、これは欧州事業部門を税率の低いアイルランドに置くことを意味し、ファイザーにとっては、アイルランドで設立登記し直すために同国のアラガンと合併することを意味する。

 ファイザーは計画中の1600億ドル(約19兆円)規模の合併をした後に、本社や株式の主要上場先市場、大半の従業員をニューヨークからダブリンへ移すわけではない。12.5%というアイルランドの法人税率の恩恵を受けるために登記先を移すだけだ。

 ある意味、多国籍企業の策略は米国の奇妙な税体系に対する合理的な対応だ。米国の体系は、法人税率は高いが、企業が海外利益を国外に無税でため込むことを許しているからだ。これは、ただ単に「タックス・インバージョン(租税地変換)」を通じて会社を設立登記し直すだけでなく、2兆1000億ドルにものぼる上位300社の米国大企業の現金の山を、バミューダなどのタックスヘイブン(租税回避地)に隠す強力な動機になっている。

 根なし草の企業は人間味のない企業のように感じ、どんな特定の場所にも忠誠心を持たない組織のように思えるのだ。

■無国籍vs多国籍

 タックス・インバージョンと、英国やフランスでほとんど法人税を払わない米ハイテク企業に対する猛反発がはっきり示したように、これは危険なゲームだ。信用が置けず、人間味がないように見え、何が一番都合がいいか、えり好みする企業は、20世紀初頭のトラストと同じ反発を引き起こす可能性が高い。

 2014年、アライアンス・ブーツ買収の一環としてスイスへの移転を検討した米国の薬局チェーン大手ウォルグリーンズが移転案を覆したのは賢明だった。節税目的でスイスに居を構えながら「米国一の薬局」を自称し、「米イリノイ州のディクソンという町ですべてが始まった」という牧歌的な物語を語り継ぐのは、かなり馬鹿げて見えたのだろう。

 タックス・インバージョンとそれに関連する活動は、すべての多国籍企業の正当性を傷つける。無国籍企業とコスモポリタン企業の間には大きな違いがある。一方は、実際には動かずに、都合のいい法解釈を使って世界中を転々とする。もう一方は、国境を越えて事業を拡大し、自社を変革するという難しい仕事を成し遂げる。

 コスモポリタン企業は尊敬されるべきだ。多くの多国籍企業は本国出身者より多くの外国人を雇っている。例えば、ゼネラル・エレクトリック(GE)の従業員305000人のうち169000人は非米国籍だ。しかし、米フォーチュン誌のグローバル500社のうち最高経営責任者(CEO)が本国出身者でないのは、たった13%だ。

 ルクセンブルクに本社を置く鉄鋼大手のアルセロール・ミタルや通信機器メーカーのノキアなど数社が試みたように、国際的な文化を築くのは難しい。ノキアはフィンランド企業とドイツ企業(ノキアとシーメンス・ネットワークス)から作られた会社で、仏米系企業(アルカテル・ルーセント)を吸収しているところだ。CEOのラジーブ・スーリ氏はインド人だ。

 コスモポリタン企業は事業を作り変えるが、財務目的で設立登記する企業は単に、納税義務を減らすことで株主のためにより多くの現金をため込むだけだ。最悪の場合、事業を手掛けるすべての場所――発祥の地である国や税目的の第二の故郷、その他の地域――で顧客と政府から得ていた評判を台無しにする。

 多国籍企業は、複数の国で確かな企業市民になることができる。たとえ本社がよそにあっても、社会に貢献できる。だが、会社の国籍を付随的な要素として扱うと、それが難しくなり、むしろ全く根を下ろしていないという印象を与えてしまう。これは株主にとって短期的には良い話かもしれないが、高い長期的代償を伴う。

By John Gapper (2016年1月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

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2.Trend

CES 2016:数は減ったがキラリと光る技術も――CESで見えてきた家電各社のアプローチ[本田雅一,ITmedia 1月7日

その年の家電業界が進む道を照らす「International CES 2016」が始まったが、今までになく家電メーカーの作り出すモメンタムは小さくなっている。メーカーはどのように事業の軸を作っていくのか。プレスデーの発表から読み解く。

 ”その年の家電業界が進む道を照らす”といっても過言ではない、世界最大の家電展示会「International CES 2016」が米ラスベガスで始まった。自動運転技術や電気自動車へと向かう流れの中で、今年は今までになく自動車色が強くなっている一方、伝統的な家電メーカーの作り出すモメンタムは小さくなってきた。一方で「エウレカパーク」と呼ばれるエリアには、多くのハードウェアスタートアップ企業が並び、活況を呈している。

CES 2016の会場となるラスベガスコンベンションセンター

 ただし、そうした新興企業が大手家電メーカーに取って代わるほどの勢いがあるかといえば、まだ大きな金脈を見つけたといえるほどのメガトレンドを生み出すには至っていない。

 記者発表がまとめて行われる開幕前日の”プレスデー”も、かつてはシャープ、東芝、パイオニア、さらに遡れば日立や三菱電機、JVC、フィリップスなどの発表会が続いていたが、今こうした家電メーカーの名前はなく、ブースそのものの出展を見合わせた企業も多い。

 こうした変化は主催者側も感じてきていたのだろう。CESを主催するCEAConsumer Electronics Association)は昨年、CTAConsumer Technology Association)へと名称を変更した。業界を取り巻く環境は以前にも増して複雑になってきており、もはやCESも“家電ショー”ではなくなってきたということなのだろう。

 そのような中で行われた大手家電メーカーの発表会は、スマートフォンやクラウドなどによって変化した市場ルールの中、どう家電メーカーとして事業の軸を作って行くかを表現する場に見えた。もっとも、以前ほどの規模は出せないかもしれないが、決してネガティブなものではないとも感じた。

プレミアム路線に舵を大きく切るLGとサムスン

 発表会を催したメーカーの中で、自らの”立ち振る舞い”を大きく変えようとしていることをもっとも強く主張していたのは韓国のLGエレクトロニクスだった。

 主役は「LG SIGNATURE」と呼ばれるプレミアムクラスの製品群。デザイン、性能、機能性などあらゆる点で上質さを演出したブランドラインである。家電でのプレミアムブランドというと、かつてソニーが展開した「クオリア」を思い出すかもしれない。しかし、LG SIGNATUREはもっとライフスタイルに密着したブランドだ。

LG SIGNATURE

 インテリアとマッチしやすいシンプルなライン、色使いで全体のフォルムを包み、”黒モノ家電”という枠組みではなく、上質なライフスタイルを演出するための製品を得意なジャンルの製品に絞り込んで提供する。LG SIGNATUREの最初の製品ラインアップは、OLED(有機EL)テレビ、冷蔵庫、洗濯機だ。

 LGは、昨年秋にドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2015」において、液晶テレビをほとんど前面には出さず、OLEDテレビを強く強調する展示を行った。実際のビジネスの中心はまだ液晶テレビなのだが、パネル事業、テレビ本体ともに売上げが下落していく中、大胆にOLEDテレビへと舵を切ったのが印象的だった。そしてCESでの発表は、それらをさらに推し進めるものだった。

 一方、スマートフォンやテレビといった看板事業が苦しくなってきている韓国サムスンも、今回の発表会では思い切った策を打ってきた。サムスンは昨年のCESで「SUHD」というブランディングを始めた。UHD4K)を超えるUHDという意味で、ハイダイナミックレンジ(HDR)性能や色再現域拡大などの技術を盛り込んだ、他社よりも一歩進んだUHDというブランディングである。

 その実態はHDRに対応した液晶テレビでしかないのだが、今年のサムスンが大胆なのは、前日に発表されたUHD Alliance発表の「UHD Premiumロゴ」にすべてのSUHD製品が対応すると発表したことだ。UHD Premiumロゴ取得には、検査機関でのテストが義務付けられており、一定以上のスペックを満たさない限り付与されない。

 ”UHD”と銘打たれているが、その実態は4Kであることよりも”優れたHDR性能と広い色再現域”にフォーカスが当てられており、直下型LEDによるローカルディミングは必須で、昨年末のモデルでいえば各社とも最上位モデルしかスペックをクリアできない。当然、コストはかなり上昇するが、”SUHD”という独自のマーケティングブランドをプレミアムなテレビの印としたいサムスンの強い意思といえるだろう。なお、前出のLGOLEDテレビも、「UHD Premiumロゴ」を取得している。

液晶とOLED2つの方向でUHD Premiumロゴを取得したパナソニック

 コンシューマー事業の投資縮小が続いたパナソニックだが、B to B事業へのフォーカスを鮮明にするとともに、テレビ事業を白モノ家電事業と統合するなど、大胆な経営改革を進めてきた。現在は一通りの改革が進み、コンシューマー事業への投資もやや戻って来ているように見える。

 とはいえ、国内のコンシューマー事業は大きく削ることなく残されたものの、北米事業は大幅に整理が進められた。おそらくブース展示も、B to B事業に寄ったものになっているだろう。ブース面積もかつてに比べると縮小しており、記者発表会場の面積は23年前に比べ半分近くにまで減少した。

パナソニックが発表した液晶テレビ最上位モデルの「DX900シリーズ」

 しかし、パナソニックは高付加価値商品を訴求し、ブランドとしての価値を高めていくことに力を注いでいる。LGOLED、サムスンは液晶にフォーカスしていたが、パナソニックは液晶とOLEDの両方で「UHD Premiumロゴ」取得モデルを用意(OLEDテレビは欧州モデル)。UHD Blu-ray Discプレイヤーも同時発表して、プレミアム映像技術を訴求した。

UHD Blu-ray Discプレイヤーも発表

 UHD Premiumロゴには、液晶テレビ向けとOLEDテレビ向けの2種類が定義されている。ザックリいえば、OLEDは圧倒的に高コントラストで黒も引き締まるが、ピーク輝度は低い。液晶はピーク輝度が約2倍と高いため明るい照明下では有利だが、黒レベルが高くコントラストや暗所での黒浮きが問題となりやすい。もちろん、コストは液晶の方がずっと低い。このような現状を見据えた上で、液晶テレビ最上位モデルの「DX900」をUHD Premiumロゴに対応させ、一方でOLEDテレビも発売するという選択をした。OLEDパネルはLG製のホワイトOLEDを用いたWRGB画素構成だ。

 パナソニックは、海外モデルと日本向けのモデルでラインアップや発売時期が大きく異なることも少なくないが、DX900は日本向け仕様が春ぐらいには投入される模様だ。ピーク輝度は1000nits512分割のローカルディミング、光漏れが少ないバックライト設計などの特徴を持ち、HDRコンテンツの表示能力が大幅に引き上げられている。

 昨年、日本では発売されなかったOLEDテレビが国内投入が気になるところだが、今回のプレスカンファレンスで紹介されたOLEDテレビは欧州向けの製品だった。新モデル開発も進めているようだが、年内の国内投入に関しては”鋭意努力している”状況で確定していない模様。「引き続き、開発と国内発売に向けて努力している」とのことだ。

欧州で発売した65V型の有機ELテレビ「CZ950

 パナソニックが高付加価値製品にフォーカスしているのは、何もテレビだけではない。IFAで発表していたテクニクスブランドの新製品が、CESにも持ち込まれている。さらにIFAでは”発表”のみだった、アナログターンテーブルの「SL-1200」シリーズを復活させた「Grand Class SL-1200G」も今年後半に発売される。

 またデジタルカメラ領域でも、高倍率レンズと高精細EVFを搭載した1インチCMOSセンサー搭載の「DMC-ZS100」を発表した。35mmフィルム換算で25250mm/f2.8-5.9のレンズと1インチセンサーの組み合わせは、他の地域では「TZ100」の名称が与えられるが、日本についてはまた別のブランドになるという。フォーカス深度を後から変えられる、4Kフォト新機能「フォーカスセレクト」にも対応する。

圧倒的なHDR画質を見せたソニーの技術展示機

 一方、ソニーは傘下のSony Pictures Home Entertainment SPHE)が、4KHDRコンテンツを中心にネットで配信する「ULTRA」の開始をアナウンスしたが、今のところ日本での展開は考えていないようだ。

 また、スマートフォンの「Xperia」はスペインの「Mobile World Congress」、デジタルカメラはドイツの「Photokina」と大きな専門イベントが控えていることもあり、今回は新製品の発表がない。ソニーは今年、VRディスプレイ「PlayStation VR」の発売を控えているが、これもお披露目はロサンゼルスで開催される「E3」になるだろう。

 平井一夫CEOは、「これまでのソニーからは決して出なかっただろう、FES Watchwena wristなどを見せることができた。テレビに関しては成熟製品でイノベーションなど起きないと思っているところに、新しい技術のBacklight Master Driveを参考展示している」と今回のCESにおける展示について語った。

従来のテレビと「Backlight Master Drive」搭載テレビの違い。非常に細かい制御ができる

 ”もう進化はないと思われるところでも進化できる”、すなわち持続的なイノベーションを今後もコンシューマー向け製品の中でもやっていけるというメッセージだが、その根拠の1つとして展示したBacklight Master Driveは、確かに液晶テレビの画質を想像以上に向上させる技術である。

 おそらく横方向に1000以上の分割数があるだろうバックライトは、光漏れを抑えて分割駆動が有効に働き、また効率よく輝度を出せるように設計されており、4000nitsもの超高輝度を従来の消費電流と同等に抑えながら実現できる。

ソニーブースで参考展示されている「Backlight Master Drive

 分割数が細かいため、見た目のHalo(ハロー)はほとんど感じられなくなり、また常識外れの高輝度が、あかるいシーンでのしっかりした色ノリを実現していた。この試作機のインプレッションは別途お伝えしたいが、暗所で観るOLEDテレビの画質をも超える印象の絵を出していた。

 製品化は未定とのことで、年内に採用製品が登場することはないようだが、開発は研究開発部門ではなく、商品化を行う部門が担っている。価格面でもOLEDよりもずっと低いコストで実現できるという。

 新製品の数という意味では寂しかったソニーの発表会だが、一目で分かる高画質を実現するBMDは、映像のHDR化が進めば大きな武器になることは間違いない。

映画「ピンクとグレー」、幕開け62分後の衝撃-行定勲監督が語る青春映画への思い壬生 智裕 :映画ライター 壬生 智裕みぶ ともひろ

映画ライター

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、特に国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手掛ける。

20160108日 TK

『ピンクとグレー』の見どころとは?(C2016「ピンクとグレー」製作委員会

ジャニーズ事務所に所属する人気アイドルグループNEWSの加藤シゲアキの小説デビュー作を、Hey! Say! JUMPの中島裕翔主演で映画化した『ピンクとグレー』が19日より全国で公開される。

自殺した人気スター俳優・白木蓮吾の第1発見者となった幼なじみ・河田大貴は、蓮吾の遺志に導かれるようにスターの地位を手に入れるも、そこで彼は迷い苦しみ、やがて蓮吾の死の真実にたどり着く――。

現役アイドルが芸能界のうそとリアルを描いた問題作はたちまち話題を集め、その文学性も高く評価された。共演には菅田将暉、夏帆、柳楽優弥ら、若手実力派が集結。映画開始から62分後に訪れる「ある仕掛け」が、青春映画ともミステリーともカテゴライズできない独自の世界を醸し出す。今回は本作のメガホンをとった行定勲監督に、久々に手掛けた青春映画への思いなどについて聞いた。

「アイドル映画」だと思っていない

――原作がNEWSの加藤シゲアキさんで、主演がHey! Say! JUMPの中島裕翔ということで、ジャニーズ映画・アイドル映画ととらえる人もいるかもしれません。しかし、作品を見れば、そういった枠を通り越して、非常に意欲的な作品となっていたように思うのですが。

そもそもアイドル映画だと思ったことはないですね。アイドル映画を作るつもりもなかったですし。たまたま中島裕翔という役者がアイドルの一面を持っているというだけですから。今どきは、役者がアイドルだからといって、アイドル映画ということにはなかなかならないと思うのですよ。この映画に関しては、絶対に驚きをもって迎えられると思いますし、アイドル映画じゃないなと思ってもらえると思います。

いちばん困るのが、アイドル映画という言葉が、アイドルに興味がない人に対して低く見る対象になりかねないということ。たとえば、関係ないおじさんたちは「アイドルが主役だろ」とか言いがちじゃないですか。でも、なぜそんな風にアイドルを低く見ることができるのか、理解不能です。結局そこに根拠はないんですよ。

――アイドルに対する偏見もあるのでしょうか。

行定勲(ゆきさだ いさお)/1968年生まれ、熊本県出身。『GO』(2001)で国内外の50の賞に輝き、『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)が観客動員620万人、興行収入85億円、同年実写映画1位の大ヒットを記録した(撮影:大澤誠)

結局、現在の映画の動員を支えているのは女性や子どもたちなんですよ。普段忙しくしているおじさんたちは、なかなか映画を見る時間がない。だから、彼女たちの方が目利きということも言えますし、おじさんたちが映画を見ないというのも非常に問題だなとは思うわけですが。

ただ、先ほども言いましたが、今回はアイドルが主役という意識はない。中島裕翔はHey! Say! JUMPの一員ではありますが、クレジットではHey! Say! JUMPという肩書は外していますからね。それから原作を書いた加藤シゲアキもNEWSというグループにいるけども、そうじゃなくて、イチ作家です。そこに目を向けてもらえると、映画の出来や、映画に対する思いも違って見えてくるかなと思います。

この映画はどちらかというと、予算をかけずに、なるべくミニマムな形で青春映画を撮ろうという企画だったので、自由にやらせてもらえた。

 

 

その自由の中で、現役でアイドルをやっている中島裕翔を完全にイチ俳優として預けてもらった。何の妥協もない。下手すると、普通の俳優さんの方がこういうシーンをやめてくれと言われてしまうことが多いくらいです。そういう意味では、この作品を勝負作にしたいという強い気持ちがジャニーズ事務所側にもある。

中島裕翔が俳優としてどれくらいブレークできるのか。彼は非常に高いポテンシャルを持っているわけだから、そのポテンシャルをどう生かすかというのはあった。ただ、彼を含めて、今回はキャスティングがうまくいった。中島裕翔以外も、今の日本映画の若手でもかなり優秀なメンバーが集まったので、そういった点でも楽しめる映画になったと思う。

62分後になにが起きるのか

幕開けから62分後に待ち構えている衝撃とは?(C2016「ピンクとグレー」製作委員会

――「幕開けから62分後の衝撃」の仕掛けが話題となっていますが。

宣伝上、「仕掛け」と表現していますが、僕自身は「仕掛け」ということはまったく考えていなくて。基本的に、あの原作小説を語るうえで、どういう形なら観客がいちばん気持ちよく、その世界観にのめり込むことができるかを考えた結果です。

だからまずは原作小説が何を訴えようとしているのか。それを読み取ることが監督なりプロデューサーなりの仕事だと思います。特に加藤シゲアキくんの小説は、時勢を入れ替えてというような、すごく映画的な時間のフィードバックがある。映画のモンタージュでしかできなかったことを、あえて小説でやってみようと。それが彼の中でしっくりくるということだと思います。

――映画的な原作であると。

小説の文体や構造、語り口を小説から学ぶのではなく、映画から学んで、それを小説にフィードバックさせていくという人って今は多いと思うんですよ。僕の知り合いでもそういうやり方をしている人はたくさんいますから。

映画は時間の芸術ですから、それを文字としてどう組み立て直すか、ということで小説の新しい形を生み出したのに、それをまた映画に戻すのはナンセンスじゃないかなと思っていて。逆に言うと、この原作を映画にする際は、もっと時制もきっちり並べて。登場人物をきっちり描いてみようと考えた。ただ、それを考えたときに構造上では面白そうだと思ったのですが、ちょっと問題点が出てきた。(物語の核心に触れるので詳しくは言えないですが)そこで今回のアイデアを思いついたということです。そうしたら、一度、小説を読んだ人も、さらに物語に広がりを感じるようになったし、案外、みんな驚いてくれたので、よかったなと思っています。

「わからない」でもいいじゃないか

――この作品だと原作はどこを抽出しようと。

いちばん大きいのは、自分がリスペクトしている人間に対する脅威というか、自分が結びついていると思っている人間に対する理解がどのくらいのものなのか、ということを表現したかったのかもしれません。

「まず原作小説が何を訴えているかを考えた」と行定監督(C2016「ピンクとグレー」製作委員会

――人と人とはわかり合えていないのだということでしょうか。

まあ、わかり合えている部分はあるのでしょうが。ただ、それがわからないのであれば、わからないままでもいいのかなというのが正直なところ。今は世の中の人が、いろんなことをわからないとダメという状況になっているような気がして。だから映画を見た後にもやっとしたものが残ってもいいし。それなりのものを持ち帰ることができるはず。そういう面では特に『ピンクとグレー』はうまくいったかなと思っています。

でも今、優秀だといわれている映画は、腑に落ちるものをきっちりと提示するんですよ。そういうことがわかった瞬間に僕はがっかりしてしまう。予想はしていなかったが、予想通りの映画だったというか。でも、それで満足している。ネット社会の今の世の中には、みんなと答えをすり合わせたいという気持ちがありますよね。でもこの『ピンクとグレー』という映画は、そこに向かわないから楽じゃない。途中で、え、ウソだろうという展開をするわけです。とはいえ、ベースにはこの小説があるので、この小説に流れるテーマには属したものになっている。僕はそこが面白くできた映画だと思う。

――人生はこれだと言い切れるほど単純なものではないと。

初主演の中島裕翔はじめ菅田将暉、夏帆、柳楽優弥ら、若手実力派が集結(C2016「ピンクとグレー」製作委員会

これを見た時に、生きることと死ぬことの曖昧さというか、その曖昧さの中で生きているんだなと感じると思う。青春映画なのに、非常に人生を俯瞰して見ている映画になった。それは僕が47歳にして、この青春を俯瞰して観ているからなんです。これが20代後半や30代前半くらいだったら、もっと寄り添っていたと思う。もしそうならそれは小説を書いた加藤シゲアキくんと同じ視線なんですよ。彼は生と死を非常にストイックに見つめているのですが、僕はそうではない。

若いころ、僕の友達も何人か自殺をしました。当時は、「何でだよ」というようないたたまれない気持ちや、怒り、憤りなんかを感じたりしていました。でも年を重ねた今の気持ちからすると、それはないんですよね。もちろん残念なことなんですが、理解できるようになったというか。そうでしかなかったんだろうな、と。一緒になって感傷的にもなるわけでもなく、かといって冷たいわけでもなく。ただ受け止められるようになった。

――そういう俯瞰した気持ちで「青春」を描くということは?

僕がこの青春小説を渡されたときに、距離をもって見ているんで、逆にエグくなった部分はあったと思う。主人公たちをもっと痛めつけてやろうと思ったり、いじめ抜いたうえで、彼がどういう顔をしているのかを映し出そうと思ったり。

昔、僕が監督をした『GO』という映画を深作欣二監督が見ていた時、そういうことを言っていました。「すばらしい映画、あんたみたいな若い人が撮ってキラキラまぶしかったよ。俺が撮ったら、もっとエグかったな。でもあんたが撮ったのはこれでいいんだ」という言葉がすごくうれしかった。

でも、その「エグかった」というのは何なんだろうとも思っていました。当時、深作監督は70歳くらいだったと思いますが、今の僕はそれよりももっと若いですが、それでも『ピンクとグレー』をやってみて、そういうことがわかるような年齢の入り口に立ったのかなと思いました。

昔の青春映画は大人も見ていた

――もちろん中島さんや菅田さんのファンは劇場に足を運ぶと思いますが、それ以外にもっと違う層に広がってもいいと思うのですが。

若い人たちが出ている映画は若い人たちが見ればいいのだというのは大きな間違い。年を重ねた人間こそ、青春映画は理解できるのだと思う。若いときは、自分たちの世代に共感して見るのだと思うのですが、でも作っている側はもっと大人じゃないですか。

そういう意味でいうと、大人も見るべきなんだと思います。宣伝としても、どうしても絶対に来てくれる人に絶対に届くようにとしてしまうから、なかなか大人の観客に届かない。そうすると大人は距離を持って見てしまうから、それが残念だなと思う。昔の青春映画は大人も見ていたんですよ。

スマホ、SIMフリーも高機能化 8機種を解剖2015/12/31 日経Net

 スマートフォン(スマホ)の高機能化が進んでいる。カメラや音楽などの基本アプリ(応用ソフト)の性能が向上し、タッチパネルのインターフェースで今までと違う操作ができる端末も現れた。

 米アップルの「iPhone6s」は画面タッチの強弱で操作が変わる「3Dタッチ」機能を初搭載した。ソニーモバイルコミュニケーションズの「エクスペリアZ5プレミアム」はスマホで初めて4K動画の再生機能を搭載し、高音質音源のハイレゾリューション(ハイレゾ)にも対応。米グーグルの「ネクサス5X」は最新の基本ソフト(OS)の「アンドロイド6.0」にいち早く対応した。京セラの「アルバーノV02」は耐衝撃性が高い。

 通信会社を選べるSIMフリースマホも続々と発売されている。プラスワン・マーケティングの「SAMURAI極」は「メード・バイ・ジャパン」を掲げ、大手メーカーが提供する機種並みの高いスペックながら価格は半額程度に抑えている。中国・華為技術(ファーウェイ)の「オーナー6プラス」はカメラを2台搭載して、焦点や絞り値の変更、ボケなどの画像編集が楽しめる。

 従来型携帯電話(ガラケー)は根強い需要があり、見た目はガラケーながら、OSにアンドロイドを使い、スマホと同じような操作ができる「ガラホ」も登場している。シャープの「アクオスK SHF32」や富士通の「アローズケータイF-05G」などが代表モデル。スマホで人気の無料通話アプリ「LINE」も使える。2015年後半に話題となったスマホ・ガラホ8機種を評価した。

※詳細ページの情報は掲載当時のものです。

 

基本性能が上がり、インターフェースも従来と違う操作ができるスマホが登場。見かけは従来型携帯だがアンドロイドOSを搭載しLINEが使える「ガラホ」といわれる端末も

【高性能・個性派スマホ】

■画面タッチの強弱でも操作 アップル「iPhone6s」

アップルの「iPhone6s」

 米アップルは「iPhone6s」を9月25日に発売した。iPhone6とほぼ同じ4.7型画面で、画面を押す強さの強弱でメニューなどの操作を変えられる「3Dタッチ」機能を初搭載した。強く押すとアプリの操作メニュー画面に素早く移行し、指先に振動で反応する。外観のデザインは2014年発売の「iPhone6」「iPhone6プラス」と大きくは変わらないが、カメラの画素数を外側は800万から1200万画素に、自撮り向けの内側は120万から500万画素に引き上げた。カラーバリエーションでは新色のローズゴールドを追加した。価格は8万400012万円前後(新規一括、SIMフリー版含む)。5.5型画面のiPhone6sプラスも同時発売した。販売目標は非公表。

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■4K映像を再生 ソニーモバイルコミュニケーションズ「エクスペリアZ5プレミアム」

ソニーモバイルコミュニケーションズの「エクスペリアZ5プレミアム」

 ソニーモバイルコミュニケーションズは「エクスペリアZ5プレミアム」を1120日に発売した。エクスペリアZ5シリーズの上位機種として、当面はNTTドコモだけを通じて発売する。高精細な「4K」映像が再生できるのが特徴。4K映像を撮影できるスマホはあったが、4K画質で再生できる機種は世界初という。

 4Kに満たないコンテンツも4K相当の高画質で再生する「4Kアップスケーリング機能」も搭載した。4K動画から800万画素の静止画を切り出すことも可能。背面に光沢がある鏡面仕上げのガラスを使い、光と影をテーマにしたという上質のデザインに仕立てた。カメラは最新のデジタルカメラに匹敵する2300万画素。新たに右側面に搭載した指紋センサーは電源ボタンと一体のため、本体を握る自然な動作でロック解除ができ、煩わしさがない。価格は9万3312円(新規一括)。販売目標は非公表。

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■最新OSと指紋認証を採用 米グーグル「ネクサス5X」

米グーグルの「ネクサス5X」

 米グーグルは「ネクサス5X」を1019日に発売した。韓国LG電子との共同開発で、LG電子が製造する。201311月に発売した「ネクサス5」の後継モデルにあたる。グーグルの最新OS「アンドロイド6.0」を搭載し、本体背面での指紋認証や次世代USB端子「タイプC」による高速充電に対応した。使用頻度の低いアプリによる電力消費を制限し、電池の持ちを良くするなど細かな改良も施した。通信会社はNTTドコモとワイモバイル。SIMフリー版もある。価格は5万9300~6万3400円(SIMフリー版)、8万2512円(NTTドコモ)、7万5168~8万3052円(ワイモバイル)、いずれも新規一括。販売目標は非公表。

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■高い耐衝撃性 初心者にも使いやすく 京セラ「アルバーノV02

京セラの「アルバーノV02

 京セラは「アルバーノV02」を7月18日に発売した。耐衝撃性能を高めながらも厚みを8.2mmに抑えた。耐衝撃のほか防水(IPX5/IPX8)や防じん(IP5X)に加え、対振動、温度耐久(高温・低温)性能も米国防総省が定めた試験に新たに対応し、様々なシーンで安心して使用できる。ホーム画面のアプリを直感的に操作できるようにした配置「エントリーホーム」や、従来型携帯電話のような入力用キーを画面上に再現する機能などでスマホ初心者にも配慮した。ディスプレー全体が振動して音を伝え、耳に当てる位置を気にせず通話できる「スマートソニックレシーバー」機能もスマホ初心者には使いやすい。価格は5万7240円(新規一括)。販売目標は非公表。

【SIMフリー版スマホ】

■日本メーカーが企画 プラスワン・マーケティング「SAMURAI極」

プラスワン・マーケティングの「SAMURAI極」

 「フリーテル」ブランドの仮想移動体通信事業者(MVNO)のプラスワン・マーケティング(東京・港)はOSにアンドロイドを搭載した格安SIMフリースマホ「SAMURAI極(きわみ)」を1120日に発売した。同社はベンチャーキャピタルの日本アジア投資やヨドバシカメラなどが出資する独立系ベンチャー。今夏からSIMカードを取り扱い通信事業に参入した。

 極は10月に発売したモデル「SAMURAI雅(みやび)」の仕様を引き上げ、旗艦モデルと位置づけた端末。8コアCPU(中央演算処理装置)、ROM32GB、RAM3GBのメモリー、6.0型ディスプレー、3400mAhの電池容量など高スペックだが、価格は大手メーカーの最新機種(8万~10万円程度)の半分ほどに抑えている。NFCはブルートゥース対応。ボディーラインは人間工学により人の手になじむ設計としている。

 製造は中国・深圳の提携工場だが、日本国内で企画・設計し、工場ではスマホの製造経験が豊富な日本人技術者が生産管理に当たり「メード・バイ・ジャパン」と銘打って日本品質を訴える。価格は4万2984円。漆風の多層塗りや金箔の細工を施した限定受注生産の和柄モデルは6万4584円。販売目標は非公表。

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■カメラを2台搭載 ファーウェイ「オーナー6プラス」

ファーウェイの「オーナー6プラス」

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)はSIMフリースマホ「honor(オーナー)6プラス」を6月中旬に発売した。背面に800万画素のカメラ2台を搭載することで、撮影後に自由に焦点や絞りを変更したり、一眼レフカメラのようなボケを表現したりできる。

 レンズの視差による約0.1秒の超高速ピント調整や肉眼よりも明るい開放F値0.95も実現した。ダブルレンズの超解像処理によりシングルレンズを超える1300万画素の深みある高画質写真の生成が可能という。「スーパーナイト」モードではノイズを抑える機能で夜景も美しく撮影できるほか、従来のハイダイナミックレンジ(明暗差)では難しかった逆光での動く被写体の撮影も簡単にできる。

 5.5型フルハイビジョン(フルHD)ディスプレーは指紋が付きにくいコーティングが施され、背面に星くず模様を浮かび上がらせる6層構造の流線形デザインで手にフィットするデザイン。同社の日本市場向けスマホとしては初となるデュアルSIM仕様になっている。同社がグループ化したチップセットメーカーが開発したCPUを組み合わせて電力消費を抑え、3600mAhの大容量バッテリーと組み合わせて長時間駆動できるようにした。価格は4万9464円(新規一括)、販売目標は非公表。

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【ガラホ】

■高速通信のLTE対応 シャープ「アクオスK SHF32

シャープの「アクオスK SHF32

 シャープはOSにアンドロイドを搭載した折り畳み式携帯電話「アクオスK SHF32」を7月17日に発売した。第4世代(4G)高速通信サービス「LTE」と、4個のCPUを搭載したクアッドコアプロセッサーによりインターネットを快適に使えるほか、無料通話アプリのLINEも使える。

 キー全体を指でなぞりノートパソコンのタッチパッド感覚で画面操作できる「タッチクルーザーEX」を搭載。高精細1310万画素のカメラは撮りたいシーンをガイドに合わせるだけでプロのような構図で撮影できる「フレーミングアドバイザー」や、薄暗い場所でも明るくノイズを抑えた撮影ができる「ナイトキャッチ」など機能を充実させた。

 高音質通話「VoLTE」対応で音声周波数帯域が拡大し、広帯域ダイナミックレシーバーによりさらに鮮明な音声で通話できる。別途料金が必要だが最大30人の同時通話ができる。高密度の3.4型QHD(960×540画素)液晶を搭載。「ピュアLED」バックライトで美しい発色と明るい表示で自然な色合いを楽しめるという。タブレット(多機能携帯端末)などをインターネットに接続できる「Wi-Fiテザリング」ができる。通信会社はKDDI。実売価格は4万3200円前後(新規一括)、販売目標(当初生産台数)は非公表。

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■LINEが使える 富士通「アローズケータイF-05G」

富士通の「アローズケータイF-05G」

 富士通は「アローズケータイF-05G」を6月19日に発売した。ガラケーなどとよばれる従来型携帯電話の外観ながら、OSにスマホで使われるアンドロイドを搭載した、いわゆるガラホだ。スマホ利用者に人気のある無料通話アプリ「LINE」をインストールした。お気に入りボタンからワンタッチで起動できる。ブックマークした天気予報や乗り換え案内など定番のスマホサイトも使える。

 同社製携帯電話で最大の1700mAh大容量バッテリーと「アローズ」シリーズで培った省電力技術により、連続待受時間は従来型携帯電話「F-07F」の約1.5倍の約930時間、連続通話時間は同2倍の約520分。有効810万画素のカメラを搭載し、防水・防じんなどの基本機能や赤外線通信、ワンセグやブルートゥース4.0も搭載した。通話性能も雑踏など騒音が気になる場所でも音域ごとに聞こえにくい音声を強調・補正する機能で向上させた。大きめの3.4型画面と文字フォントの工夫でメールなども読みやすい。「らくらくホン」シリーズで培った人間工学設計を基にキーの間隔や形状、片手ワンプッシュで開くボタンなど操作性にもこだわった。通信会社はNTTドコモ。実売価格は3万6288円(新規一括)。販売目標(当初生産台数)は非公表。

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3.Innovation/Motivation

がん、糖尿病が息だけで診断できる時代に、高精度センサー実用化へ読売新聞 読売新聞よみうりしんぶん

20160109TK

人の息だけでがんや糖尿病などにかかっている疑いを診断できる高精度センサーが産官学合同で開発され、2022年にも実用化される見通しとなった。

将来的には、センサーをスマートフォンなどに組み込み、個人でも手軽にチェックできるようになる可能性もある。早期発見で、膨らむ医療費の抑制にもつながると期待される。

国立研究開発法人の物質・材料研究機構(NIMS、茨城県つくば市)が中心となって、呼気のにおいを分析し、含有物質を高精度で判別できる小型センサーを開発した。京セラ、NEC、住友精化、大阪大、スイスの精密機器メーカーと合同で実用化を進めている。

 

数ミリ四方の小さいチップであるセンサーに搭載された「膜」が呼気の特徴を検知し、がん患者の呼気に含まれる特有の物質の有無などをチェックしてがんの疑いがあるか判定する仕組みだ。センサーを搭載したり接続したりしたスマホやパソコンなどにグラフや数値で結果が示される。

NIMSによると、センサーの精度を高め、においに関するデータを蓄積していけば、がんの種類も見極められるようになる可能性が高いという。

糖尿病や腎臓病、肝臓病、ぜんそく、ピロリ菌なども呼気に特徴が出るといい、センサーで様々な病気の判別ができるようになりそうだ。医療機関の診断のほか、個人が健康や病気をセルフチェックする機器として用いることが検討されている。

小型センサー1個の製造コストは数百円ほどで量産できる。実用化には、がんのにおい物質に関するデータの収集や精度を高めるための開発、国による医療機器の認証などにより、6年ほどかかる見通しだ。

がんは日本人の死因のトップで、年間40万人近くが死亡している。内閣府による14年の調査では、がん検診の受診率は約40%で、欧米の先進国の半分程度という。受診しない理由は「時間がない」「費用がかかる」「痛みに不安がある」などが多く、手軽な呼気診断は受診率向上につながりそうだ。ただし、病気の確定には医療機関で詳しい検査を受けることが必要だ。

がんに詳しい日本医科大の宮下正夫教授(消化器外科)は「がん治療には早期発見が有効だ。呼気による簡単な検査が普及すれば画期的だ」としている。

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4.Society.Culture・Edu.・SportsOthers

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5.EconomyPolitics・Military Affaires

中国物価、151.4%上昇 政府目標を大幅に下回る

2016/1/9 日経Net

 【北京=大越匡洋】中国国家統計局は9日、201512月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べ1.6%上昇し、上昇幅は前月から0.1ポイント拡大したと発表した。15年通年の平均上昇率は1.4%と、中国政府が15年の抑制目標とした「3%前後」を大きく下回り、09年以来6年ぶりの低い伸びにとどまった。一方、卸売物価指数も前年を下回る状態が続いており、中国景気の減速が続いている。

 1512月の卸売物価指数は前年同月比5.9%下落した。下落幅は前月と同じで、46カ月連続で前年水準を下回った。設備過剰を抱える製造業へのデフレ圧力は強く、景気を下押ししている。1512月の卸売物価指数を前月比でみた場合でも0.6%下落した。製品価格の落ち込みで企業の実質的な金利負担が高まり、新規投資などが鈍る悪循環が生じている。

 1512月のCPIは食品の価格が2.7%上昇、食品以外は1.1%の上昇だった。食品価格の上昇が足元の物価全体の上昇幅をわずかに押し上げる形となった。例えば、中国の食卓に欠かせない豚肉の価格は14%上昇と高止まりしている。

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6.Marketing

 【コミュニケーション】

なぜ日本男子は「自分の強み」を語れないのか、自分ならではの「違い」を打ち出し土俵を作れ

タブ タカヒロ :はたらく女性のかていきょうし タブ タカヒロたぶ たかひろ

はたらく女性のかていきょうし

 

1996年早稲田大学卒業、英国国立ウェールズ大学院経営学修士MBA)。外資系婦人肌着メーカー、外資系スポーツブランドを経て、現在は外資系ITコンサルティング会社に勤務。平日に企業向けのコンサルタントとして働く傍ら、週末に働く女性への個人コンサルティング(かていきょうし)を行っている

20160104日 TK

日本人は「自分の強み」を探すのが苦手です(写真:Ushico/PIXTA

こんにちは。はたらく女性のかていきょうし、タブタカヒロです。

新しい1年が始まりました。新鮮な気持ちの中、これから先のことに思いを巡らせる人や、就活のために「自己分析」を始める学生さんも多いかと思います。

「自分の強み」、即答できますか

これから先のキャリアを考える時に必ずついてくるテーマが「自分の強み」です。「はたらく女性のかていきょうし」として働く女性にお仕事コンサルをしていると、自分の棚卸しをして強みを見つけたいというご相談が多いです。

ところがこの「自分の強み」探し、日本人はすごく苦手です。特に日本男子。まず「あなたの強みは何ですか?」の問いにいちばん多い回答は……「特にありません」。身もふたもありません。

中には自分の強みを答える人もいますが、ちょっとズレが目立ちます。たとえば、「自分は東大を出て官僚になって…」と突然経歴や資格、肩書きを語り出す男性がいました。ギャグかと思って、肩書きは聞いていませんけど? と突っ込もうとすると……本人はいたって本気。

あるいは何とかひねり出して「課題解決能力ッス」「共感力です」「リーダーシップがあります」と漠然とした「〜力」的回答も多い。それって具体的に言うと何ですか? そう聞くとよくわからない。

日本男子は大きな「はきちがい」をしている

日本男子が語る3つの強み「特にない」「肩書き」「〜力」では、本人の売りが伝わりません。日本人は、日本男子はどうして自分の「強み」をうまく語れないのでしょう? 今回は、強み探しが下手な理由と、上手な強み探しのお作法について考えたいと思います。

日本男子が強み下手な最大の理由は、一つの大きなはきちがいにあると思います。それは

「強み=一流」というはきちがいです。

強みは、一流という意味ではありません

最近「一流」というコンセプトがはやっていますが、「一流」の意味を辞書で調べると「その分野で第一等の地位」と書いてあります。つまり「強み=一流」とは、その分野で一等賞になるくらい秀でたものが「強み」であるという考えです。だから日本では強みの話になると、ナンバーワン、オンリーワンといった「一握り」の者だけが持つ能力の話になってしまいます。

また、一握りの強みという考え方はあまりに理想的。強みを身に付けるには「ちゃんと」したキャリアで「きちんと」仕事して「やっちゃダメ」な結果は出さないようにしなくてはと考えてしまいます。まるで失敗するしつけのキーワード。これでは強みなんて「特にない」と答えたり、あるいは肩書きや資格とか、ふわふわした「〜力」にすがるのも無理はありません。

そもそも、世の中の人のほとんどは一握りの中に入れません。一流を目指してもしょうがない人のほうが多いんです。でも、すべての人は必ず、仕事がデキるプロフェッショナルにはなれます。デキるプロフェッショナルとそうでない人を分ける境界線は、プロですからやはり「仕事」。「仕事の依頼」です。具体的に次の2つの基準だと思います。

① 次の仕事の依頼が途絶えないこと。
② 依頼のレベルが高まること。

あなたにしかできない、あなたがいい、と思われること

仕事の依頼をもらうには、一握りの一流である必要はありません。依頼する相手にとって「こういうことができるのって、〜さんくらいしかいないよね」と、必要とされるかどうかの問題です。英語で表現するとこうなります。

 

自分の個性を生かした、必要とされるニーズを作ってしまいましょう

ナンバーワンにならなくても良い
オンリーワンにもならなくても良い
相手の「You are the One!」(私は、あなたが良いんだ)になろう!

 

有名な経営学者ピーター・ドラッカーは、ビジネスの究極の目標は「顧客の創造」だと主張していました。自分の個性を生かした、自分が必要とされるニーズを作ってしまう。まさに「You are the One!」の発想ですね。

You are the One! になるには、自分の個性つまり「違い」を打ち出して、依頼が増える自分ならではの「仕事の土俵」を作ってしまうことが重要です。「強み」とは一握りの「一流」ではなく、自分ならではの「違い」。そう考えるともっと気楽に自由に自分の強みを探せると思います。

それではデキるプロフェッショナルは、自分ならではの違いをどうやって打ち出しているのでしょうか。「違い」は「ちゃんとした」本流のキャリアからはなかなか見つかりません。デキるプロは、本流からそれた流れ「回り道」の経験から得たものを、本業のスキルにうまく組み合わせて違いを打ち出すパターンが多いようです。

「回り道」の経験を組み合わせた違いづくりは、大きく次の3パターンがあります。

回り道した経験の組み合わせを強みにする

 

3タイプの組み合わせがあります

① 関係ないスキル

畑違いな部署への異動、学生時代のアルバイト、前職など。一見本業と関係ない仕事での経験を、本業に組み合わせるパターンです。他部署、他業界の仕事をちょっとかじっただけでも、その知識やスキルを本業と組み合わせることで付加価値の高い違いが打ち出せます。

たとえば、経理やITなどバックオフィスの異動が多かった女性がいました。本人は中途半端と思っていた複数部署の知識を組み合わせると、企業全体のプロセスが描けるという彼女ならではの違いを発見。社内コンサルタントとしての彼女の土俵を作りあげました。

② ほろ苦い経験

仕事で体調を崩したり、大きな失敗をしたり、トラブルを体験したりといった、ほろ苦い経験を本業に組み合わせるパターンです。経験から得た気づきを、同じ経験をした人、同じ経験をするかもしれない人に対して還元して共感を得るような、新しい仕事が生まれます。

大きな失敗を経験した人は、失敗する人の気持ちをくんだマネジメントができるという違いが出せます。仕事で体調を崩した自分の経験とその時の気づきを、女性の働き方メソッド整理して講演するという、新しい土俵を作った女性もいらっしゃいます。

③ ニッチなつきあい

お年寄りと話す機会が多かった、子供との接点が多かった、周りはおじさんばかりだった、方言で話すのが得意など。コミュニケーションするのが得意な特定の地域、世代、性別を相手に本業のサービスを提供すると、自分ならではのニッチなマーケットをつくれます。

実は、「はたらく女性のかていきょうし」はこの組み合わせです。女性に囲まれて仕事していたので女性相手は得意。女性向けコンサルタントってなかなかいないな……と思ってつくったボクならではの土俵でした。

20代は違いを形成する時期、焦らないこと

中途半端な職歴、ほろ苦い失敗、偏ったおつきあい。そんな本流からそれた回り道の経験こそ、自分ならではの違いを打ち出す材料です。一流も入り込めない、自分ならではの「土俵」をつくるのは、すごくワクワクするお作法です。ぜひ試してみてください。

強みづくりには、資格や才能より自分ならではの回り道の経験が重要です。ですから、プロとしての強みを打ち出すには、社会人になって少し年月が必要になります。就活生や20代の若手社員の女性に「かていきょうし」する時は、今は「強み」はなくてもいいんですよとお伝えしています。

自分ならではの違いは、順調じゃない道をたどって形作られる、自分の歴史みたいなもの。「一流」にしばられず、自由に自分の違いを形成してくことが重要です。最後にプロフェッショナルを歌うあの名曲のフレーズをご紹介します。

ずっと探していた 理想の自分って もうちょっとカッコよかったけれど ぼくが歩いてきた 日々と道のりを ほんとは"ジブン"っていうらしい〜スガシカオ 「Progress」より

正月では遅い!来年の計画は12月に考える

自分に合った「計画の立て方」を選ぶのがコツ

タブ タカヒロ :はたらく女性のかていきょうし タブ タカヒロたぶ たかひろ

はたらく女性のかていきょうし

 

1996年早稲田大学卒業、英国国立ウェールズ大学院経営学修士MBA)。外資系婦人肌着メーカー、外資系スポーツブランドを経て、現在は外資系ITコンサルティング会社に勤務。平日に企業向けのコンサルタントとして働く傍ら、週末に働く女性への個人コンサルティング(かていきょうし)を行っている

20151123日 TK

1年の計画の立て方にはコツがある。自分がどんなタイプかを知り、自分に合った計画の立て方を実践しよう(写真:tomos/PIXTA

こんにちは。はたらく女性のかていきょうし、タブタカヒロです。

「そう言えば今年、何をやろうとしていたんだっけ?」

年末が近づいてくると、年明けに掲げた目標や「やりたいことリスト」がいつの間にか放置状態に――この時期のあるあるの一つだと思います。女性のお仕事コンサル活動をしていて、1年間の目標や計画の立て方のご相談を受けることも数多くあります。

目標を達成できない人の共通点

ご相談に来られた女性のお話を伺っていると、1年の目標がいつの間にか放置状態になる人には、目標や計画を立てるタイミングと立て方に共通点があることに気づきました。

タイミング:お正月に目標や計画を立てている

立て方:「やりたいことリスト」に書いている

1年の計は元旦にあり」「やりたいことをリストにすると実現できる」といったことは、どちらも世間で常識と考えられています。でも仕事のお作法としては、1年間で実現する可能性が高いやり方とは言えません。仕事のお作法としてオススメしたいのは、次のとおりです。

タイミング1年の計は12月にあり

立て方:やりたいことはリストにしない

今回は、実現の可能性がアップする、ちょっと変わった1年計画のお作法について考えたいと思います。まずは、計画を立てるタイミングについてです。

1年の計は元旦にあり」は、1年の始まりで気持ちがリフレッシュされたタイミングで計画を立てるのが良いという、昔から伝わる格言です。昔はこのサイクルが機能していました。でも現在では、個人ができること、情報の量が格段に増えています。1年間にやることを元旦の1日で考えるには、あまりにも時間が少なすぎると思いませんか。

移動時間や休憩時間を使って考える

21世紀の今、1年計画には今年を振り返って来年は何をしたいか、検索をしたり考える時間が必要です。元旦よりもっと早めのタイミングの12月から1年のことを考える時間を持つべき。これが「1年の計は、12月にあり」としている理由です。

 

とはいえ、年の瀬の12月は仕事もプライベートも忙しい時期。来年のことをじっくり考えるまとまった時間は持ちづらいものです。移動時間や休憩時間などちょっとした合間に、今年の振り返りと来年の計画をぼんやり考え想いを温めながら、徐々に計画を考えることをオススメします。

次に、1年の計画の立て方についてです。これに方については、「やりたいことリスト」や「願いが叶うスケジュール帳」など、いろんな人がいろんな方法論とツールを主張しています。どれが最善なのか悩んでしまいますね。

実は、最善の方法論なんてないんです。一人ひとりのタイプに合った、計画法を使い分けるべき、が回答だと思います。計画を立てるタイプで人を分けるとだいたい、「計画的かどうか」軸と「臨機応変かどうか」軸で、次の4タイプに分類できると思います。

 

A. 即行動タイプ(計画的度:低、臨機応変度:低)

計画なんかいらない、やることが見えたらすぐ行動に移せる、そして継続できる人。起業家や経営者に多いタイプです。やることが分かれば十分なので、このタイプには「やりたいことリスト」が効果的です。

「やりたいことリスト」は、リストを書いた時にモチベーションが一気に上がります。ところが大きな目標は日数が経つとともにモチベーションが下降することが、心理学の研究で実証されています。やりたいことリストは書いた瞬間に行動に移せる起業家・経営者タイプに向いていますが、そうでないその他大勢には、モチベーションがなえやすいツールです。

B. さきざき計画タイプ(計画的度:高、臨機応変度:低)

計画を立てるのが好きで、その場その場の臨機応変な対応は苦手な人は、さきざきの計画立てるのが好き。そんなタイプには、やりたいことを1枚の「ロードマップ」でスケジュール化するのをオススメします。ロードマップとは、A4用紙1枚に3カ月の大きな単位でスケジュール化するツールです。作り方は、

1)やりたいことを書き出す

23月、6月、9月、12月と見出しを書く

3)やることの期間を線で引く、それだけ。

それだけで、1年の全体像が見えてきます。あとは3カ月おきに計画と実際を振り返る習慣をつけると、実行する可能性がぐっと高くなります。

 

C. 試行錯誤タイプ(計画的度:高、臨機応変度:高)

計画を立てるのも好き、臨機応変な対応もできるという人は試行錯誤タイプ。1週間1カ月みたいな細かい単位で、計画を立てて振り返りをする。そして振り返りの結果を次の1週間、1カ月の計画に生かす……という習慣が向いています。書店で売っているスケジュール帳を使うといいでしょう。

D. 行き当たりばっちりタイプ(計画的度:低、臨機応変度:高)

計画を立てるのは好きじゃない、その場の感覚やひらめきが大事という人は行き当たりばっちりタイプ。ふざけた感じに聞こえますが、「プランド・ハプンスタンス」という名前で理論化されているくらい、プロの世界でも「アリだ」と認められているタイプです。このタイプにはプランは必要ない。やりたいことをいつも意識しておくことで、チャンスを呼び込み、チャンスをつかむことができるようになると言われています。

コミットメント効果を味方にする

行き当たりばっちりタイプの願いがかなう可能性がさらに高まる、カンタンな工夫を一つご紹介します。それは、やりたいことが実行される日、実現する日を想像する。その日がピンと思いついたら、スケジュール帳に予定として書き込んじゃう、それだけ。スケジュールにすると潜在的に意識するし、人間は自ら言ったことは無意識に成し遂げようとする「コミットメント」という心理学的効果が働くからです。

計画って堅苦しいし、やらなくちゃと逆にプレッシャーを感じてしまうと思います。あるいは計画を立てただけで満足することもあります。でも、堅苦しく考える必要はありません。どうせ計画通りに進むことなんてないんです()

計画にはもっと大きな意味があります。先のことを考えることは未来をシミュレーションすること。未来に対する心の準備なんです。最後に、「計画のプロ」の一言をご紹介します。

Plan is worthless, but planning is everything. 計画なんて役に立たないモノだが、計画を立てるプロセスこそが重要なのだ。〜 ドワイト・アイゼンハワー 

強い意志や目標がないほうが人は成長できる、自分を成長させる「仕組み作り」とは?タブ タカヒロ :はたらく女性のかていきょうし タブ タカヒロたぶ たかひろ

はたらく女性のかていきょうし

 

1996年早稲田大学卒業、英国国立ウェールズ大学院経営学修士MBA)。外資系婦人肌着メーカー、外資系スポーツブランドを経て、現在は外資系ITコンサルティング会社に勤務。平日に企業向けのコンサルタントとして働く傍ら、週末に働く女性への個人コンサルティング(かていきょうし)を行っている

20150817日 TK

強い意志で結果にコミットしようとする人ほど空回りする(写真 : Nori / PIXTA

夏休みシーズンですね。学生時代に夏期講習に通ったり、部活やバイトに打ち込んだり、新しいことを始めたりした夏休みの記憶が体に染み付いているからでしょうか。この時期になると、「自分を変えたい」「自分を成長させたい」というようなピュアな気持ちが湧いてくる人が多いように感じます。

そんなことが背景にあるのでしょうか。ダイエットやエクササイズ、体質改善、語学や資格取得に向けた勉強、新しい習い事などにおいて「自分を変える、成長させるメソッド」がメディアでよく紹介されています。これらに共通しているのが、「強いキモチ(意志力)を持つ」と「結果にコミットする」を強調していること。「本当にそう?」と疑ってしまうのはボクだけでしょうか。

「この夏オレは変わるぞ! 結果を出すぞ!」と新しいチャレンジを始めるものの空回りして挫折し、結局何も変わらない。周囲から「お前、やせるんじゃなかったっけ?」と突っ込まれる「強いキモチで結果にコミット君」のひと夏をよく見かけます。

自分を変えるには、”キモチ”や”コミット”の前に「自分マネジメント(セルフマネジメント)」が必要です。男女ともに自分マネジメント上手な人たちは、「強いキモチを持って結果にコミット」なんてしていません。

どうして「結果にコミット君」は失敗するのでしょうか。自分マネジメント上手な人たちのやり方とは何が違うのでしょうか。夏休みシーズンの今回は、自分を変える新しいセルフマネジメントのお作法を考えます。

「結果にコミット君」を待ち受ける3つのわな

「結果にコミット君」は、自己啓発本によく書いてあるようなこんなステップを踏むパターンが多いようです。

1.目的を立てる:

ダイエットを例にとれば「やせてモテる(周りからの評価を上げる)」

2.数値目標を立てる:

ダイエットを例にとれば「○kg減量、体脂肪○%ダウン」

3.方法を考える:

ダイエットを例にとれば「〜法を試す」「〜茶を毎日飲む」など

一見正しいアプローチのようですが、このやり方は多くの場合うまくいきません。このステップを踏む「結果にコミット君」には、以下3つのわなが待っているからです。

 

1)数字のわな

数値目標が一人歩きするわな。とりあえず数値をクリアしようと無理して、後でしわ寄せがくる。

2)カタチのわな

方法論が先走りするわな。「この方法さえ続ければ結果が出るのだ!」と信じ込んで実践するものの、その方法が必ずしも正しいとは限らないため、結局結果が出ない。

3)強いキモチのわな

目的達成に対する「強いキモチ」があれば頑張り続けられると念じるが、キモチは割と簡単に折れる。

「オレはやる!」と結果にコミットするあまり、数字・カタチ・強いキモチにとらわれて、かえって結果が出ない。目的・目標・方法というアプローチは意志力を消費します。とりわけ意志の強い人には向いているのかもしれませんが、万人向きとはいえません。

大事なのは行動パターンを自然に変えること

セルフマネジメントには結果にコミットするよりもっと大事なことがあります。それは「行動を自然に変える」こと。強い意志力は不要です。セルフマネジメントは、自然に気持ちや行動パターンが変わる「仕組み作り」がカギです。

 

自分の行動を自然に変える、セルフマネジメントのポイントは次の3ステップです。

1)美〜ビジュアル

目的を立てるのでなく、意識や感覚に訴えるビジュアルイメージを脳に刷り込む。心理学でも証明されていますが、人間の行動を変えるにはビジュアルイメージで訴えるのが最も効果的です。

2)論〜ロジック

先に数値目標を定めるのではなく、数値が向上するロジックを考える。数値目標に縛られるとそれを達成することばかりにとらわれて、実態は何も変わっていないということがよくあります。理論的にいちばん効果の出る方程式を考えるのです。

3)慣〜コンティニュー

方法論にこだわらず、考えたロジックを楽しく継続できる習慣化が大事。強いキモチで努力すると挫折することも。意志力など関係なく、何も考えずにやってしまうような仕掛けが行動を変える近道です。

上記の3ステップをもう少し具体的に説明します。

まず、「美〜ビジュアル」に効果的なお作法は2つあります。一つは、大きな姿見を設置すること。入浴後や外出前などに自分を眺める時間を持つだけで自分に対するイメージはとても高まります。2つ目はプロフィール写真をプロのカメラマンに撮影してもらうこと。これによってテンションが上がり、自分への意識が大きく変わります。SNSにはお気に入りのプロフィール写真を設定しましょう。

次に「論〜ロジック」。このステップにはちょっとおもしろいお作法があります。それは「超一流の10%の努力」を続けるだけでもかなりの努力量に相当するというロジック。自分が憧れる超一流の人と同じ努力はできないけれどその10%の努力だったらできるかもしれません。

憧れの超一流ビジネスパーソンが11冊本を読むなら、101冊のペースで本を読んでみる。それでも年間36冊もの本を読むことになります。毎日1000回の腹筋を習慣としている超一流アスリートをお手本にするなら、毎日100回だけでも続けてみましょう。2カ月も経てば大きく変わった自分に気づくはずです。

そして「慣〜コンティニュー」に効果的なお作法は、ゲーム感覚を取り入れることです。本を1冊読んだ、タスクを1つ終えた、1日分のトレーニングを済ませた……などの進捗をゲーム感覚で管理するのです。たとえばノルマを完了するごとにカレンダーにお気に入りのキャラクターのスタンプやシールを貼る。それだけで習慣化しやすくなります。

単調なタスクやトレーニングを楽しい習慣にする方法もあります。たとえばジョギングを続けるのは苦しいけれど、仕事帰りに一駅前で電車を降りて好きな通りを散歩するのを日課にすれば、確実に習慣化できます。

強いキモチで結果にコミットするより、ビジュアルイメージを刷り込んで習慣化するセルフマネジメントのほうが効果的であることに気づかせてくれたのは、米国のある女優でした。

彼女は肥満体型で決して美人ではない、もとは素人の黒人女性。そんな彼女がある日、オーディションを受けてハリウッド映画主演に抜擢され、アカデミー主演女優賞にノミネートされました。どうして女優業にチャレンジしようと思ったのか、インタビュアーの質問に対する彼女の回答が、本質を突いていてカッコよかったのです。「セルフマネジメントとはコレだ!」と気づかされました。

セルフマネジメントの極意ともいえる彼女のその一言とはこれでした。

あるとき私は、自分を美しいと決めたの。〜 ガボレイ・シディベ

男の「自称デキる」と「真のデキる」はどう違う、1年の振り返りトークで将来性までわかるタブ タカヒロ :はたらく女性のかていきょうし タブ タカヒロたぶ たかひろ

はたらく女性のかていきょうし

 

1996年早稲田大学卒業、英国国立ウェールズ大学院経営学修士MBA)。外資系婦人肌着メーカー、外資系スポーツブランドを経て、現在は外資系ITコンサルティング会社に勤務。平日に企業向けのコンサルタントとして働く傍ら、週末に働く女性への個人コンサルティング(かていきょうし)を行っている

20151221TK

オトコのポテンシャルを見抜くには、ここを見よ!(写真:msv/PIXTA

1年を振り返る会話が増える時期、自称デキるオトコと真のデキるオトコを見分けるチャンスです。

こんにちは。はたらく女性のかていきょうし、タブタカヒロです。

もうすぐ今年も終わりですね。「はたらく女性のかていきょうし」として女性のお仕事コンサルをしていると、12月は「一緒に1年の振り返りをしたい」というご相談が多くなります。

振り返りトークは相手を知るヒントがいっぱい

仕事場でも同様で、仕事納めを前に今年1年を振り返る面談や会話が行われる時期です。1年の振り返り面談はどこの会社もだいたい同じ。目標管理シートを見ながら実績を振り返り、次にフリートークでよもやま話をする……というちょっと退屈な構成です。面談が盛り上がらずに形式化している会社も多いと思います。

でも会話は相手を知るヒントがいっぱい表れる貴重な機会。たとえば男性上司や男性部下と1年を振り返るような話をするとき、あるポイントをチェックすれば、相手が将来的に真にデキるオトコかどうか、ポテンシャルを簡単に見抜くことができます。

今回は、この時期によく交わされる1年の振り返りトークで、目標管理シートなんか使わなくても、真のデキるオトコを見分けるお作法をご紹介します。もちろん、はたらく女性ご自身が1年を振り返る時にも十分役に立つお作法です。

仕事場を見渡すと上司でも部下でも、頭がよくて仕事が早い「デキるオトコ」がいると思います。デキるオトコは将来さらにデキるオトコに成長するか、ポテンシャルの量で2つに分けることができます。

2つの見分けポイント

「自称デキるオトコ」:自分はデキると思っているけれど、周りから認められないオトコ。

「真にデキるオトコ」:自他共に認める、デキるオトコ。

どちらのデキるオトコも地頭がよくて、仕事が早い。ひとりの作業であれば差はないのですが、両者にはひとつ大きな違いがあります。それは人を動かせるか、人がついてくるかどうか、です。リーダーになるための伸びしろです。

若い時期は個人作業が中心なので「自称デキるオトコ」も「真にデキるオトコ」も表立って差は出ません。でも後輩が付いたりチームを任されるお年頃になると、一気に「デキるオトコ度」の差が出ます。この「自称」と「真に」デキるオトコたち。1年の振り返り話しをする時に次のような大きな違いがあるんです。

 

・自称デキるオトコ〜「G」で始まる成し遂げた実績を振り返る
GOAL:目標達成度
GREAT:成功体験
GROWTH:成長につながる資格や実績

・真にデキるオトコ〜「し」で始まるほろ苦い経験を振り返る
①失敗:うまく行かなかった経験
②しんどい:辛かった経験
③新発見:物の見方・考え方を変えさせられた経験

 

自称デキる上司は、部下の「何を成し遂げたか」を聞く。真にデキる上司は、部下の大変だった経験から「何を学んだか」を聞く。自称デキる部下は、自分の実績をアピールする。真にデキる部下は、大変だった経験からの気づきや変化を語る。

自称デキるタイプは実績に対する評価を確認して、自分の中で自信を築いていく。真にデキるタイプはほろ苦い経験から気づき変化するので、周りが彼は成長したと認識する。実績話より、失敗談を聞く方が相手からの共感もぜんぜん違いますよね。その違いが積み重なって、周りの人が付いてくるかどうかが違ってくる……という仕組みです。

成し遂げた実績か、ほろ苦い体験か……男性上司や部下が面談時に何を語るか、ぜひチェックしてみてください。そして働く女性の皆さんも、ぜひこの1年、ほろ苦い体験を思い出して、そこから何を学んだか振り返ってみてください。自分の変化や成長に気づくと思います。

実は、ほろ苦い体験は、組織の究極のリーダーである経営者に求められる要素です。経営者を探すヘッドハンティング企業も「ほろ苦い経験」を重視します。彼らはクライアントの依頼に応じて、優れた経営者を常に発掘するため、候補者を評価する方程式を開発してきました。その中でも代表的な方程式がこれです。

能力+EQ+修羅場

 

能力とは、知識やスキル、業界経験といった幅広い仕事のスキルを意味します。通称「ハード・スキル」です。EQは心の知能指数と呼ばれる指標。この方程式では自分をコントロールする、他者と関係を築き動機付けするといった、人間的スキルを意味します。通称「ソフト・スキル」です。

ハード・スキル、ソフト・スキルがそろった人材は優秀ですが、リーダーとなるにはまだ大きな要素が一つ足りません。経営者を探すヘッドハンターは、候補者が修羅場〜困難な状況に出会った経験や大きな失敗の経験を最も重視します。

よく使われるたとえ話ですが、次期CEOの最終候補としてAさんとBさんの2人が残りました。

A:一流企業で成功を積み重ねてきたエリート
B
:閉鎖や倒産の危機を体験した中小企業の工場長

 

優れたヘッドハンティング企業なら、どちらをCEOに選ぶでしょうか?絶対にBです。経営者には必ず予想外の事態が何度も訪れます。すでに修羅場や失敗を体験し気づきを得ている人間ならば予想外の事態にも対応できる可能性が高い。

IT起業家が多い米国、シリコンバレーのベンチャーキャピタルも、投資先を選ぶ基準のひとつは修羅場や失敗の経験であるというのは有名な話です。一流のリーダーには、修羅場というほろ苦い体験が必須というのは、真にデキる者たちの常識なのです。

ほろ苦い経験のひとつ、失敗は、マネジメント論の研究でも重要視されています。ところが日本では言葉のネガティブ感が強いせいか、失敗を避けたいという空気感がやたら強い。自称デキる人は特に失敗を避ける傾向にあります。

失敗をプラスにとらえる考えもあります。でも日本の「失敗論」はどこかネガティブ。成功のためには数多くの失敗が必要だから、失敗を恐れず積極的に挑戦しよう……という「恐怖心の克服と挑戦」の観点から語られることが多いです。失敗に対して肩に力が入りすぎていて、グローバルな失敗学からちょっとズレてる感じがします。

グローバルな失敗学の多くは、「学び」をテーマにしています。学びに必要な失敗の経験という観点で研究されています。学習理論では学びのプロセスについて数多く研究されていますが、学びのプロセスには大きく分けると2種類あります。

2種類ある、学びのプロセス

 

1つ目は、成功のために正解を求めて失敗は避ける。その繰り返しで成功を「再生産」する成功学習プロセスです。テストみたいに決まったコトの正答率をアゲるには効果が高いので、学校の教育ではこちらが多いと思います。自称デキる人もこちらのタイプが多いようです。

ただし学びの効果は薄いです。成功の再生産は自信がつくかもしれませんが、気づきや学びが無いので新しい変化を起こすことができません。ちょっと退屈な学びのプロセスと言えます。

2つ目は、失敗が折り込まれた、試行錯誤のループを回す学び方です。

1. まず前提や常識、成功体験を疑う
2.
そして「こうなんじゃないかな?」という仮説を立てる
3.
仮説を実際に検証してみる
4.
出てきた結果(失敗が多い)から気づきを得る

 

そして1に戻る……というループ型プロセスです。結果が成功しても、しばらくしたらその成功体験を疑って新しいやり方を考えます。前提を疑って試行錯誤する、わくわく感が持続するプロセスと言えます。

失敗は勇気の必要な挑戦ではなく、試行錯誤で学ぶ1ステップである。そんな肩の力の抜けた学びのプロセスができるかどうかが、結果的に新しいことへのチャレンジと成長につながるのかもしれません。

1年の振り返りトークで、何を語るか。そこから見えるのは、実は未来。未来に向けて何を大事にしているかだと思います。今年ももうすぐ終わりますが、5分ほど時間があったら、ぜひほろ苦い経験から自分がどう変わったか、思い返していただけると嬉しいです。

夢を達成するとき大切なのは何を手に入れるかではなく、その過程でどのような人間になったかということだ           ~ヘンリー・デイヴィッド・ソロー

【リーダーシップ・フォローシップ】

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大塚家具の久美子社長、私流「ようやく6合目」(ルポ迫真)

2016/1/9 情報元

日本経済新聞 電子版

 毎年大勢の客が押し寄せることで知られる仙台の初売り。2日午前8時半、大塚家具社長の大塚久美子(47)は晴れ着姿で仙台ショールームの店頭に立ち、早朝から列をつくった約100人の客を笑顔で迎えた。

晴れ着姿で初売りに臨んだ大塚家具の大塚久美子社長(2日、仙台市)

 「頑張ってね」「応援してるから」。2015年に創業者である父、勝久(72)と経営を巡って委任状争奪戦を演じた久美子に声を掛けた女性客に笑顔で応じる。「今日はコスプレですよ」。父を解任し社長に復帰してからほぼ1年、冗談で応じる余裕も出てきた。

■北海道進出前にニトリ本社訪ねる

 怒とうの年越しだった。打ち合わせや取引先へのあいさつ回りを1229日までこなすと、札幌に飛んだ。元旦に北海道1号店の開業を見届け、その日の夜に仙台入り。2日は5時起床で着付けをし、初売りに備えた。

 12月下旬には、悲願の北海道進出を前に東京都北区のニトリホールディングス本社に似鳥昭雄(71)を訪ねている。「北海道のことはまだ右も左も分かりません。これから色々教えてください」

 似鳥は北海道で創業し事業を広げたというだけではない。勝久との付き合いも古い。小学生のころから知る久美子に「歓迎しますよ」と応じ、昔話に花を咲かせた。「頑張っていきたいと思いを新たにした」と久美子。社債償還を巡って裁判中の父とは会話もままならない。気の置けない先達とのひとときが活力剤になったのかもしれない。

 「古い大塚家具の終わりの始まりです」。記者会見でこう言い放ち、全店舗の全商品、34万点を売り尽くす計画を明らかにしたのは2カ月前の1511月初めのことだった。最大5割引きで店頭在庫を処分し、店舗の大改造に取り組む。

 記者会見を控えた10月末にはインターネット電話「スカイプ」で全16店をつなぎ、「前代未聞のことが始まるから、健康に気をつけて」と営業担当社員約900人に活を入れた。

 めざすのは勝久がつくり上げたビジネスモデルの変革。店への気軽な立ち寄りを妨げていた会員制の廃止に加え、新たな店舗では高価格帯商品の展示を縮小する一方で中価格帯を強化する。狙いは、つかみきれていなかった若い世代だ。

 「新たな店はこれから10年インテリア業界をリードするものにしたい」。大塚家具を一から「私流」に変える。売り尽くしはその宣言だった。

 11月に売り尽くしセールが始まると、知人のパティシエに頼んで作ってもらった「特製クッキー」2千個を携えて全国の店舗を回り、販売現場の社員に手渡す気遣いをみせた。お家騒動で動揺した社内を一つにまとめ、前へ動かすにはこんな演出も必要だ。

 「結婚や引っ越しなどの『まとめ買い』中心から『買い替え・単品買い』にも対応できる店に変わる。そのために必要なものは何か」。12月に入ると、約40人いる部長全員を集めてリニューアルの意図を説明。購入を決めずに来店する顧客に向け、「入りやすく、つきっきりで案内しなくても商品の魅力が分かってもらえる店づくりをする」とこだわりを訴えた。

 大改造をしたうえで店舗をリニューアルオープンするのは今年2月上旬の予定。あと約1カ月で、描いてみせた絵を形にできるのか。「全てが難所だが、ようやく6合目まで来た」。初売りで来店客に見せた久美子の笑顔には、緊張感や不安もない交ぜになっている。

■変化を妨げない店舗デザイン

 少子高齢化で市場の大幅な成長は見込めず、変革の前途が洋々なわけでない。家具・インテリア国内最大手のニトリに加え、世界最大手のスウェーデンのイケアも日本で事業を拡大している。大塚家具が新たな顧客開拓をかける中価格帯には、アクタス(東京・新宿)など競合がひしめく。

 久美子は店舗改装を託したデザイン事務所に、実はこんな注文を出している。「運用しながら変わっていけるよう、変化を妨げないデザインを考えてほしい」。大改装はあくまで新生・大塚家具の出発点。顧客に求められ続ける店を模索する歩みを止めれば、一時の話題に終わりかねない。

 勝久は保有する大塚家具株を順次手放し、15年末までに筆頭株主の座からも降りた。父の影響力低下で、16年は名実ともに娘の力量が試される。「どんな年にしたいですか」。久美子に尋ねると、「会社の永続のためにも足元を固める一年にしたいですね」という答えが返ってきた。=敬称略(松本史)

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