中国で新規融資が過去最高  「ゾンビ企業」淘汰で攻防も

中国で銀行融資が急増している。中国人民銀行(中央銀行)の16日の発表によると、1月の人民元建ての新

規融資は2兆5100億元(約44兆円)と前年同月比で7割増え、単月の融資額で過去最高を記録した。景気が

下降局面にあるのになぜ銀行融資が増えるのか。 

 

融資増の背景には人民元レートの下落予想もありそうだ 

  そもそも中国は1月の融資額が多くなりやすいという独特の傾向がある。中国でふつうこれは「早めに貸した

方が年間の利益が多くなるから」と説明されるが、銀行の都合に借り手が応じてくれなければ成り立たない。ど

こか計画経済のにおいのする慣行だが、今回はそれだけでは説明がつかない。 

■外貨建て融資は減少傾向 

  1月の融資額でこれまで最も多かったのが、2009年1月の1兆6200億元。このタイミングを聞いてぴんと来る

人も多いだろう。リーマン・ショックを受け、4兆元の景気対策を決めた直後の時期だ。中国の場合、景気を刺激

しようと思えば、銀行に貸し出しを増やすよう政府が求める。 

  今回も、それと同じことが起きた可能性は否定できない。リーマン・ショック時の教訓で闇雲な投資は戒めてい

るものの、景気の底割れを防ぐために各地でインフラ建設を進めている。銀行融資はその原資。不動産市況を

好転させるため、人民銀行が住宅ローンの頭金規制を緩和した効果もあっただろう。 

吉田忠則(よしだ・ただのり)  89年日本経済新聞社入社。流通、農政、保険、政治、中国などの取材を

経て07年から経済部編集委員。主なテーマは中国経済と日本の農業。 

  もし理由がそれだけなら、景気減速局面で銀行が「政府の財布」となるこれまでのやり方のくり返しになる。た

だ地方の過剰債務と企業の過剰設備という「2つの過剰」にさいなまれるなか、中国政府は同じ轍(てつ)を踏ま

ないため、無理に景気をふかすことを否定し続けている。 

  そこで融資増のべつの背景として浮かぶのが、人民元レートの下落予想だ。「融資増」と書いたがそれは元建

ての話で、じつは外貨建て融資は少し前から減り続けている。本当に元安が進めば、外貨で借りていると返済

負担が重くなる。借り手は当然、防衛策をとる。外貨から人民元への借り換えだ。 

  1月という特殊要因に加え、政府による景気刺激策も外貨建て債務の圧縮も、実際に融資増に影響したとみ

られるが、ここではあえてもう1つの可能性も指摘しておきたい。長い間利益を出すことのできない「ゾンビ企業」

の問題だ。 

■融資引き揚げ前に地方が先手 

 

1月の融資額を発表した人民銀行は、「ゾンビ企業」向け融資の圧縮も命じた 

  人民銀行は1月の融資額を発表したのと同じ16日、発展改革委員会などと連名で、銀行などの金融部門が

工業の活性化に貢献するよう指示を出した。製造業の不振は長引く景気減速の主因となっており、銀行に製造

業の経営支援を求めたようにもみえる。だが指示は技術革新などに役立つ融資は積極的に増やすよう促す一

方、ゾンビ企業向けの融資は圧縮することを命じた。 

  赤字が常態化した企業には、地方政府と関係の深い企業も多い。みずほ銀行(中国)の細川美穂子主任研究

員は「中央政府によるゾンビ企業への淘汰の圧力が強まる前に、駆け込み的に融資を増やしたのではないか」

と指摘する。中国流の「上に政策あれば、下に対策あり」だろうか。 

  習近平政権がスタートして以降、ぜいたく禁止令や腐敗撲滅など当初はどこまで本気か疑問視された措置

が、権力闘争もからみながら執拗に続けられてきた。ゾンビ企業の淘汰もトップダウンの命令。人民銀行などが

連名で出した指示はゾンビ企業からの融資の引き揚げについて「断固として」という強い表現で求めており、影

響を恐れた地方が先手を打ったのかもしれない。 

  おそらく1月の融資の急増は、様々な要因が複合的に絡みあって起きたのだろう。とくにゾンビ企業の整理を

断行できるかどうかは短期的には雇用不安の恐れがある一方、中国経済を長期的に安定させるためには必須

の課題だ。銀行融資が延命に使われるのか、それとも淘汰の役割を果たすのかが今後の注目ポイントになる。

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